日本大百科全書(ニッポニカ) 「トン・ドク・タン」の意味・わかりやすい解説
トン・ドク・タン
とんどくたん
Ton Duc Thang
(1888―1980)
ベトナムの政治家。メコン・デルタのロンスエン省生まれ。サイゴンのフランス系専門学校在学中から反植民地活動に参加。1912年フランスに亡命、海軍内で対ソ干渉戦争反対闘争で活躍。1920年に帰国、ホー・チ・ミンが組織した青年革命同志会に加盟。1929~1945年まで下獄。八月革命で解放後、北部で台頭、1955年祖国戦線議長、1960年副大統領に就任。1969年ホー・チ・ミンの死に伴い大統領に昇格。1976年7月南北統一のベトナム社会主義共和国でも大統領に選出された。ホー・チ・ミンのようなカリスマ性には欠けるが、革命第一世代の長老として尊敬された。1980年3月の彼の死後、集団的大統領機関「国家評議会」が成立した。
[黒柳米司]