ドクサ(英語表記)doxa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドクサ」の意味・わかりやすい解説

ドクサ
doxa

「臆見」を意味するギリシア語エピステメの対立概念。低次の認識を意味する語としてドクサを初めて使ったのはクセノファネスであるが,永遠不変の存在についての真なる確証に対して,感覚に基づくドクサを立てたのはパルメニデスである。プラトン後者思想をうけて,真実在についての知識 (エピステメ) と感覚的事象を対象とするドクサを認識論的存在論的に峻別,さらにドクサを感覚的個物に対する確証と感覚的個物の似像に対するエイカシアに区別した。アリストテレスはこれに対して存在論的区別を退け,エピステメを一般者ないし必然的なものについての判断とし,ドクサを感覚的個物にかかわるものとしている。エピクロス派では感覚そのものは真と認めるが,感覚に近い自発的な精神作用であるドクサには感覚の明証性の限界を踏越えて誤謬の可能性があるとしている。

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