通常の救急車と違い、患者監視装置などの医療機器を装備し、医師、看護師を乗せて救急現場に向かう特別な救急車。患者収容からすぐに治療に入るため、従来と比べて治療開始までの時間を半減できる。救命救急センターなどの病院が運営するが、道路交通法上の緊急自動車と認められている。ハイリスク出産児に対応する新生児搬送用ドクターカーもある。
日本では1979年(昭和54)から兵庫県西宮市消防局と、隣接する県立西宮病院が協力して始めたのが最初である。救急車は消防署から出るが、地理的に病院が近いと協力がしやすい。1982年の松本市信州大学病院と宇都宮市、1986年の会津若松市会津中央病院などが先駆的である。1992年(平成4)には千葉県船橋市で船橋方式が誕生した。船橋方式は、司令部が重症者と判断した場合は、救急車のほかにドクターカーの出動を要請する。船橋市立医療センター内に消防局救急ステーションがつくられ、平日はセンターの医師が、夜間休日は市医師会の医師が交代で対応する。
しかし、全国的にはドクターカーは普及していない。国のバックアップがないため、医師の確保がもともと困難で、費用の工面も自治体レベルではむずかしいのが現状である。
[田辺 功]
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