イギリスの作家ワイルドの長編小説。1891年刊。美青年ドリアンは享楽主義者ウォートン卿(きょう)の影響で放蕩(ほうとう)の生活を送るが、その汚濁は本人には現れず、画家ホールワードの描いた彼の肖像が日夜醜悪に変わる。ドリアンは最後に画像を切り裂くが、死んだのは生身のドリアンで画像は元の美しさに戻る。3人の中心人物は作者ワイルドの分身的存在で、彼は自らの人生、芸術、倫理に関する主張を3人のことばを借りて作中にちりばめた。ワイルドの大胆な発言は発表当初不道徳の非難を招いたが、これもまたギリシア的エピキュリアニズムという世紀末的人生観をうたった作品としての意義をもつ。
[前川祐一]
『『ドリアン・グレイの肖像』(西村孝次訳・岩波文庫/福田恆存訳・新潮文庫/菊池武一訳・角川文庫)』
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