日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガシンクイ」の意味・わかりやすい解説
ナガシンクイ
ながしんくい / 長心喰虫
昆虫綱甲虫目ナガシンクイムシ科Bostrichidaeの昆虫の総称。世界各地に産するが、熱帯域など暖地の森林地帯に多く、数百種が知られており、日本にも13種の記録がある。体長2~50ミリメートルであるが、小形の種が多い。体は円筒形で頭は下向きに前胸にはまり、前胸は背面前部が丸く張り出し、顆粒(かりゅう)や突起が並び、キクイムシに似ている。しかし触角は先端3節が内側に片状に伸び、脚(あし)の跗節(ふせつ)は5節である。枯れ木や枝に孔(あな)をあけるものが多いが、衰弱した木にもつき、タケナガシンクイ属Dinoderusのようにタケに孔をあけるもの、コナナガシンクイRhizopertha dominicaのように貯蔵穀類の害虫とされるものもある。また、フタトゲナガシンクイSinoxylon japonicumのように電話ケーブルの鉛被に孔をあけ絶縁不良の原因をつくるものもある。幼虫は白くて肉質、C形に体を曲げ、頭が小さく、胸が大きく、材中にすみ食害する。ヒラタキクイムシ類はしばしばこの科の亜科とされることがある。
[中根猛彦]