なぐれ(読み)ナグレ

デジタル大辞泉 「なぐれ」の意味・読み・例文・類語

なぐれ

《動詞「なぐれる」の連用形から》
横にそれること。
「其の拍子に風の―で奴等の上の釣洋灯つりランプがぱっと消えた」〈鏡花歌行灯
おちぶれること。身持ちが悪くなること。また、その者。なぐれ者。
浪人の―」〈洒・花菖蒲待乳問答〉
売れ残ること。また、そのもの。売れ残り。
門松の―今戸で鬼を焼き」〈柳多留一二
なぐら」に同じ。
矢田の野や浦の―に鳴千鳥/凡兆」〈猿蓑

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「なぐれ」の意味・読み・例文・類語

なぐれ

  1. 〘 名詞 〙
  2. 本来向かうべき方向をそれること。または、ある事をしおえて後、別の事へ向かうこと。
    1. [初出の実例]「浅草市のなぐれが、二人づれで、馴染のやたゐへ上った所が」(出典:咄本・蝶夫婦(1777)足留の盃)
  3. 飛ばっちり。
    1. [初出の実例]「御悋気のなぐれに下女は度々こまり」(出典:雑俳・柳多留‐三五(1806))
  4. 売れ残ること。
    1. [初出の実例]「八百屋いかに青柚のなぐれ今日の菊〈調和〉」(出典:俳諧・江戸新道(1678)秋)
  5. 身を持ちくずすこと。おちぶれること。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「若後家、かかりふ人、浪人のなぐれ、盲女、かまはらひに至るまで」(出典:談義本・花菖蒲待乳問答(1755)二)
  6. なごろ
    1. [初出の実例]「矢田の野や浦のなぐれに鳴千鳥〈凡兆〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)一)

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