ナッチェス(読み)なっちぇす(英語表記)Natchez

翻訳|Natchez

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナッチェス」の意味・わかりやすい解説

ナッチェス(民族)
なっちぇす
Natchez

北アメリカ、ミシシッピ川の河口近くに住んでいた先住民集団(アメリカ・インディアン)。言語はホカン・スー大語族に属するナッチェス語族のナッチェス語。1698年には3500人を数えた人口は、その後急激に減少し、周囲の先住民集団チカソーChicasaw、クリークCreek、チェロキーCherokeeに吸収されてナッチェスは姿を消した。生業トウモロコシを主作物とする農耕であり、これは村落の共同労働であったが、個別に野生の果実の採集狩猟も行った。30~40軒の小屋が一つの村を構成し、儀礼用の建物がかならず付属していた。部族は、太陽の子孫だと考えられた貴族と、平民の二つの階層に分けられていた。村落の首長は貴族であって太陽とよばれ、部族全体の長は大きな太陽とよばれた。その地位は母系的に受け継がれ、大きな太陽の母親は白い女とよばれた。大きな太陽、白い女と並んで、呪術(じゅじゅつ)師が宗教上大きな役割を果たし、シカ祭とトウモロコシ祭が祭礼として重要であった。

[木村秀雄]


ナッチェス(アメリカの地名)
なっちぇす
Natchez

アメリカ合衆国ミシシッピ州南西部、アダモ郡の郡都。人口1万8464(2000)。ミシシッピ川に面する高台に位置した重要な河港で、綿花の取引中心地として発達した。南北戦争以前のプランテーション所有者の住宅が多い。1817~21年までミシシッピ州の州都であった。

[菅野峰明]

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