化学辞典 第2版 「ナフトールジスルホン酸」の解説
ナフトールジスルホン酸
ナフトールジスルホンサン
naphtholdisulfonic acid
C10H8O7S2(304.30).1-および2-ナフトールのジスルホン酸誘導体の総称.いずれもアゾ染料の中間体であるが,重要なものを数例あげる.【Ⅰ】1-ナフトールジスルホン酸:
(1)1-ナフトール-3,6-ジスルホン酸.バイオレット酸ともいう.ナフタレン-1,3,6-トリスルホン酸を水酸化ナトリウムの濃水溶液中で加熱すると得られる.塩化鉄(Ⅲ)で青色を,アルカリ性水溶液は緑色の蛍光を呈する.赤~紫系染料用に用いる.[CAS 578-85-8]
(2)1-ナフトール-3,8-ジスルホン酸.ε酸ともいう.1-ナフチルアミン-3,8-ジスルホン酸塩を水中で加圧・加熱すると得られる.水に可溶.ピンク系染料用に用いる.[CAS 129-91-9]
(3)1-ナフトール-4,8-ジスルホン酸.シェルコップ酸ともいう.1-ナフチルアミン-8-スルホン酸のジアゾ化,加水分解後,スルホン化すると得られる.[CAS 117-56-6]【Ⅱ】2-ナフトールジスルホン酸:
(1)2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸.R酸ともいう.2-ナフトールを濃硫酸と加熱すると得られる.通常,二ナトリウム塩は針状晶.[CAS 148-75-4]
(2)2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸.G酸ともいう.2-ナフトールを発煙硫酸と低温で反応させると得られる.水に易溶.酸性染料,直接染料の中間体である.[CAS 118-32-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報