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物上代位(読み)ぶつじょうだいい(英語表記)Surrogation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物上代位
ぶつじょうだいい
Surrogation

担保物権の目的物売却,賃貸,滅失破損され,その交換価値が,それぞれ売買代金,賃料,保険金などの請求権として現実化された場合,これらの請求権にも担保物権効力が及ぶこと (民法 304) 。たとえば,抵当権の目的である建物が焼失したときには,債務者の火災保険金支払請求権のうえにも効力が及ぶ。物上代位を認められる担保物権は,先取特権質権および抵当権であって留置権は含まれない。請求権に代位するものであるから,払渡しまたは引渡し前にその請求権を差押えることが要件となる (304条1項但書) 。

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デジタル大辞泉の解説

ぶつじょう‐だいい〔ブツジヤウダイヰ〕【物上代位】

担保物権の目的物が売却・賃貸・滅失・破損などによって金銭その他の物に転化した場合に、担保物権はそれらの物の上に効力を及ぼし、優先弁済を受けられること。

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百科事典マイペディアの解説

物上代位【ぶつじょうだいい】

担保物権の目的物の売却・賃貸・滅失・破損によってその物の所有者が金銭その他の物を受ける請求権を取得した場合に,その担保物権がこの請求権の上に効力を及ぼすこと。先取特権質権抵当権はこの効力をもつ。たとえば,抵当家屋が焼失して火災保険金請求権に変じたとき,債権者はその請求権を差し押え,この請求権の上にも抵当権の効力を及ぼさせることができる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶつじょうだいい【物上代位 Surrogation[ドイツ]】

一般に留置権を除く担保物権に共通な特性。質権,抵当権および先取(さきどり)特権はいずれも目的物の交換価値から優先弁済をうけることにより債権担保の機能を果たすものであるから,その目的物が価値的に別のもの(前記の損害賠償請求権,火災保険金請求権など。これを代位物Surrogatという)に姿を変えた場合に,その変形物に効力を及ぼすものとすることが衡平に適する。これを物上代位という。たとえば甲が乙に質入れ中の動産が第三者丙の過失によって失われた場合に,甲は丙に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を取得するが,乙の質権はこの損害賠償請求権上に存続する。

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大辞林 第三版の解説

ぶつじょうだいい【物上代位】

担保物権は、その目的物が売却・賃貸・滅失・破損などによって金銭その他の物に転化しても、転化したものに効力を及ぼし、優先弁済を受けることができること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物上代位
ぶつじょうだいい

担保物権の目的物が売却・賃貸・滅失・損傷されたことにより、その所有者が金銭その他の物を受ける場合に、担保権者がそれらの物のうえに優先弁済を受ける権利を行使すること。たとえば、担保の目的物が売却された場合に、担保権者は優先弁済を受ける権利を売買代金に対して行使することができる。しかし、そのためには担保権者は、支払いがなされる前に、売買代金請求権を差し押さえなければならない。同様に、担保の目的物が他人の不法行為で滅失した場合には、損害賠償請求権に物上代位することができる。先取特権・質権・抵当権はこの効力をもつ(民法304条・350条・372条)。これらの担保物権にこのような効力が認められるのは、これらの担保物権が目的物それ自体を目的とするのではなく、その交換価値を把握するものだからである。すなわち、仮に目的物が滅失したとしても、その交換価値を表すものが残っている場合には、そのうえに担保物権は存続する。たとえば、抵当権の設定された建物が焼失したとしても、抵当権設定者(建物の所有者)が火災保険金請求権を有する場合には、抵当権者は、その火災保険金請求権を行使することができる。したがって、交換価値の把握を目的としない担保物権、すなわち目的物を留置することによって債務の弁済を促す留置権には物上代位性は認められない。[高橋康之・野澤正充]

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世界大百科事典内の物上代位の言及

【保険代位】より

…保険者が被保険者に保険金を支払ったときに,一定の要件のもとに,被保険者の有するある種の権利が保険者に移転することをいう。保険代位は保険金の支払により被保険者が不当な利益を得ることを防止する措置であり,損害の塡補(てんぽ)を目的とする損害保険契約のみに認められ,生命保険契約には認められていない。商法上,保険代位には残存物代位(661条)と請求権代位(662条)がある。前者は,保険の目的が全部滅失し保険金が全部支払われた場合にその目的について有していた被保険者の権利が保険者に移転することであり,海上保険における難破物や火災保険における焼残物に対する所有権などがある。…

※「物上代位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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