日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニューヨーク・メッツ」の意味・わかりやすい解説
ニューヨーク・メッツ
にゅーよーくめっつ
New York Mets
アメリカのプロ野球球団。ナショナル・リーグ所属(東地区)。フランチャイズをニューヨーク州フラッシングに置き、シェイ・スタジアムを本拠地としている。
ナショナル・リーグの球団数拡張が行われた1962年に新球団として誕生。当初は、1957年までニューヨークをフランチャイズとしていたジャイアンツの本拠地ポロ・グラウンズを間借りしていたが、64年に現本拠地が開場した。両リーグ2地区制となった1969年から東地区に配属された。ギル・ホッジス監督就任2年目のこの年、トム・シーバーが最多勝を獲得してサイ・ヤング賞に選ばれ、球団初優勝に貢献した。プレーオフではアトランタ・ブレーブスに勝ってリーグ優勝。ワールド・シリーズでも、圧倒的に不利といわれながら強豪ボルティモア・オリオールズを降して「世界一」となった。過去7年間で最下位5回の弱小球団がみせた快進撃は「ミラクル・メッツ」とよばれた。1973年にも、シーバーが最優秀防御率と最多奪三振の二冠王で2回目のサイ・ヤング賞を受賞してリーグ優勝。しかし、ワールド・シリーズではオークランド・アスレチックスに勝てなかった。強打のダリル・ストロベリーと快速球投手ドワイト・グッデンDwight Gooden(1964― )の若手コンビが中心となった1986年に地区優勝。ヒューストン・アストロズを破ってリーグ優勝し、ワールド・シリーズではボストン・レッドソックスと対戦した。あとアウト一つで敗戦と追い込まれた第6戦の延長10回裏、ゲーリー・カーターの安打を足掛りにチャンスを広げ、ムーキー・ウイルソンMookie Wilson(1956― )の放ったゴロを一塁手がトンネルしてサヨナラ勝ち。最終第7戦にも勝ってワールド・シリーズを制し、またも「ミラクル」といわれた。1988年にも地区優勝した。両リーグ3地区制が導入された1994年からも東地区所属となった。1995年に千葉ロッテマリーンズで監督を務めたボビー・バレンタインが96年途中から監督に就任し、98年途中には強打の捕手マイク・ピアッツァがフロリダ・マーリンズからトレードで加入。1999年と2000年に2年連続してプレーオフに進出した。とくに、2000年はリーグ優勝して同じニューヨークをフランチャイズとするヤンキースとワールド・シリーズで対戦し、「サブウェイ・シリーズ」(地下鉄で両チームの本拠地を行き来できる)とよばれた。しかし1勝しかできなかった。2001年が地区3位に終わると、その後は2年連続して最下位。
[山下 健]
2004年以降
2004年には西武ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)から松井稼頭央(かずお)が移籍したが結果を残せず、チームも4位に終わった。翌05年には先発投手の柱ペドロ・マルチネスがチーム最高の15勝をあげるなど健闘し、4年ぶりに勝ち越したが4位。2006年は2位に大差をつけて18年ぶりの地区優勝を果たしたが、チャンピオンシップ・シリーズではセントルイス・カージナルスに4勝3敗で敗れ、リーグ優勝はならなかった。続く2007年はシーズン終盤まで首位を走っていたが、最後にフィラデルフィア・フィリーズに逆転され、2位に終わった。なお、そのほか日本人選手では、野茂英雄(のもひでお)投手(1998年)、吉井理人(まさと)投手(1998~99年)、新庄剛志(しんじょうつよし)外野手(2001、03年)、石井一久(かずひさ)投手(2005年)らがプレー。
1962年から2007年までの通算成績は、3496勝3816敗、地区優勝5回、リーグ優勝4回、ワールド・シリーズ優勝2回。
[編集部]