日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フィラデルフィア・フィリーズ
ふぃらでるふぃあふぃりーず
Philadelphia Phillies
アメリカのプロ野球球団。ナショナル・リーグ所属(東地区)。フランチャイズをペンシルベニア州フィラデルフィアに置き、シチズンズバンク・パークを本拠地としている。球団名の変遷は、フィラデルフィア・クエイカーズ(1883年)―フィラデルフィア・フィリーズ(1890年)―フィラデルフィア・ブルージェイズ(1944年)―フィラデルフィア・フィリーズ(1946年)。
ウースターにあったマイナー・リーグ球団を買収してフィラデルフィアに移転させ、1883年からナショナル・リーグに加盟、クエイカーズとして発足した。1890年から現名称となった。球団初優勝は1915年。大投手ピート・アレキサンダーPete Alexander(1887―1950)は、この年から17年まで3年間も投手三冠王(最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振)となり続けた。ワールド・シリーズではボストン・レッドソックスと対戦したが敗れた。2回目の優勝は1950年。通算286勝のエース右腕ロビン・ロバーツRobin Roberts(1926― )を擁したが、ワールド・シリーズではニューヨーク・ヤンキースに勝てなかった。両リーグ2地区制となった1969年からは東地区に配属された。1971年にベテランズ・スタジアム(2003年まで本拠地)が開場。本塁打王8回の長距離打者マイク・シュミットと、歴代2位の通算4136奪三振という左腕スティーブ・カールトンSteve Carlton(1944― )が中心となって1976年から3年連続地区優勝。シュミットが本塁打と打点の二冠王で最優秀選手(MVP)、カールトンが最多勝と奪三振の二冠王でサイ・ヤング賞をそれぞれ受賞した1980年にはリーグ優勝。ワールド・シリーズではカンザスシティ・ロイヤルズと対戦し、4勝2敗で降して球団初の「世界一」となった。1981年も、シュミットが前年同様の二冠王でMVPを受賞。この年はストライキで前、後期制となり、前期優勝して後期優勝のモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)との5試合制の地区優勝決定プレーオフを戦ったが敗れた。1983年、そしてカート・シリングがエースとなった1993年にもリーグ優勝したが、両年ともワールド・シリーズでは勝てなかった。両リーグ3地区制が導入された1994年からも東地区所属となったが、その後は2001年の2位を最高に低迷が続いた。現本拠地が開場した2004年は、42本のホームランを打った主砲トーミーの活躍などで2位に浮上した。
[山下 健]
2005年以降
2005年、06年はともに地区2位。2007年には、1993年以来14年ぶりとなる7回目の優勝を果たした。しかし、プレーオフではコロラド・ロッキーズに破れ、リーグ優勝はならなかった。この年のシーズン途中にはシカゴ・ホワイトソックスから井口資仁(ただひと)が移籍、攻守にわたってチームの地区優勝に貢献した。2008年からは田口壮(そう)がプレー。
1883年から2007年までの通算成績は、8853勝10029敗、地区優勝7回、リーグ優勝5回(うち1リーグ時代は0回)、ワールド・シリーズ優勝1回。
[編集部]