ヌーディスト・クラブ(読み)ぬーでぃすとくらぶ(その他表記)nudist club

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌーディスト・クラブ」の意味・わかりやすい解説

ヌーディスト・クラブ
ぬーでぃすとくらぶ
nudist club

裸体生活主義者たちの団体。もともとはスウェーデンノルウェーデンマークなど北欧の太陽光線に恵まれない地方で、日光浴を目的に特定の場所で多くの家族が男女とも全裸生活を営むものであった。しかし、しだいに単なる日光浴だけでなく、全裸でいることに思想的意義をみいだし、ドイツ、フランス、アメリカなどでも行われるようになった。これは、裸を他人に見せることを厳しく戒めてきたキリスト教の規制への反発と、裸で接し合うことに信頼関係をみいだそうとすることからであった。したがって、初めは一般人の視線を避けるために高原や林の中や島などを利用し、風紀が乱れないように会の規則もとくに厳しく定められ、会員はそれを積極的に自主的に守るものであった。

 しかしながら、とくに第二次世界大戦後は、世界的性解放風潮が高まり、キリスト教の規制も規制としての威信が薄らいだところから、裸体生活そのものを目的とする傾向に変質してきた。といっても、かならずしも性の解放だけを目的にしてはいない。現代社会の人間疎外的環境のなかにあって、裸体で接し合うことで、一般社会では求めにくい人間味を感じ合おうとしているわけである。すなわち、社会の孤独からの脱出営為一つともいえよう。なお、世界には、法的にいっさいこのような全裸生活を許さない日本のような国と、特定条件下では許す国とがある。

[深作光貞]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android