ヌーボー・テアトル(英語表記)nouveau théâtre(仏)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌーボー・テアトル」の意味・わかりやすい解説

ヌーボー・テアトル
nouveau théâtre(仏)

1950年代にフランスを中心として現れた前衛劇のこと。アンチ・テアトル (反演劇) または不条理の演劇もほぼ同じものを指す。 1950年に初演された E.イヨネスコの『禿の女歌手』,あるいは 53年に上演された S.ベケットの『ゴドーを待ちながら』などが,ヌーボー・テアトルの始まりである。この名称は小説における「ヌーボー・ロマン」などと並べられる。ヌーボー・テアトルは,それまでのダダ・シュールレアリスム演劇の流れをくみながら,統一された筋や登場人物の心理を否定し,日常的な言語を解体し,舞台上のオブジェ (物体) や不可解な存在としての人間に独自の表現を与えたところに特徴がある。代表的な作家としては,上記の2人のほかに,A.アダモフ,J.ジュネ,F.アラバル,あるいはイギリスの H.ピンターなど。ヌーボー・テアトルは 60年代末までが全盛期であったが,その後世界的に現れたさらに新しい傾向を追求する演劇に前衛の座を譲り,今日ではその歴史的な役割を終えている。

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