アダモフ(読み)あだもふ(英語表記)Arthur Adamov

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アダモフ」の意味・わかりやすい解説

アダモフ
Adamov, Arthur

[生]1908.8.23. ロシア,キスロボーツク
[没]1970.3.16. フランス,パリ
フランスの劇作家。16歳のときパリに出て,シュルレアリスム運動の影響を受ける。第2次世界大戦中は強制収容所に入れられた。戦後アウグスト・ストリンドベリやフランツ・カフカの影響を受けた前衛的不条理劇を発表し,アンチ・テアトル作家の一人として注目された。代表作『パロディー』La Parodie(1950),『侵入』L'Invasion(1950),『ピンポン』Le Ping-pong(1955),『パオロ・パオリ』Paolo Paoli(1957),『七一年春』Le Printemps 71(1961)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アダモフ」の意味・わかりやすい解説

アダモフ
あだもふ
Arthur Adamov
(1908―1970)

ロシア生まれのフランスの劇作家。コーカサス地方キスロボーツクの生まれ。ロシア革命後、スイス、ドイツへ移り住み、1924年パリへ出てシュルレアリストのグループと親交を結ぶ。スウェーデンの劇作家ストリンドベリの影響を受けて劇作を始め、かたわら1948年、演出家ジャン・ビラールの依頼で、ビュヒナーの『ダントンの死』をアビニョン演劇祭のために翻訳。1950年『大小策略』と『侵入』が演出家ロジェ・プランションによって上演されるや、一躍ベケットやイオネスコなどと並び称せられるようになる。1953年の『タレンヌ教授』を契機ブレヒトの理論に共鳴して、作風は無意識の抽象的暗喩(あんゆ)から社会性の強い劇へと変わる。1955年の『ピン・ポン』、1957年の『パオロ・パオリ』、1961年の『71年春』など強烈な政治性を帯びていった。遺作は1970年の『もしも夏が戻って来るなら』。

[利光哲夫]

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