ネコ2世(その他表記)Necho Ⅱ

改訂新版 世界大百科事典 「ネコ2世」の意味・わかりやすい解説

ネコ[2世]
Necho Ⅱ

古代エジプト第26(サイス)王朝第2代の王。在位,前609-前594年。その治世初めはアッシリア帝国の没落期にあたり,メギドの戦でユダ王ヨシヤを破り,ユーフラテス川付近まで軍を進めてかつてのエジプト帝国を一時再現した。しかし新興の新バビロニア王国の王子ネブカドネザルカルケミシュに戦って完敗しアジア領を失った。同王子が父王の死によって本国に引き揚げたためエジプト本土を保つことができたが,こののちはアジアへの領土的野心を捨てて貿易に専念した。ナイル川と紅海をつなぐ運河の建設を企画したが完成をみなかった。また支配下のフェニキア人船員にアフリカ周航をさせたといわれる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネコ2世」の意味・わかりやすい解説

ネコ2世
ネコにせい
Necho II

古代エジプト第 26王朝3代目の王 (在位前 610~595) 。プサムティク1世の子。新興の新バビロニアに敗れたアッシリアを救援するために軍を進め,新バビロニアの同盟国ユダの王ヨシヤをメギドの戦いで殺し,エホアハズ王を退位させパレスチナ足場を築いたが,前 605年カルケミシュの戦いで新バビロニア王ナボポラッサルの息子ネブカドネザル2世大敗を喫した。前 601年にはエジプト本土をも攻撃されたが,このときは敵を撃退。シリアとパレスチナで反バビロニア勢力の拡充をはかった。しかし彼自身は敗戦に懲りて再びエジプトを出ようとはしなかった。古代ギリシアの歴史家ヘロドトスによれば彼はアフリカ一周の遠征航海を実現させた。また紅海とナイル川を結ぶ運河の建設を試みたが,神託に従って中止したという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のネコ2世の言及

【アフリカ探検】より

…プントの国はソマリアの一角と考えられている。前7世紀の第26王朝ネコ2世はフェニキア人を雇ってアフリカ周航をさせた,と前5世紀のヘロドトスは記している。内陸部への進出はナイル川をさかのぼって行われた。…

【スエズ】より

… 古代から地中海と紅海を結ぶ航海ルートの重要性は注目され,ナイル川を経由して二つの海を結ぼうという運河建設の試みは何度も行われ,古代エジプト時代の記録にも残っている。第26王朝(前663‐前525)のネコ2世の時代にはデルタ地帯のナイル川支流に面したブバスティスの町から紅海までの運河建設が計画され,その後アケメネス朝ペルシアのダレイオス1世が完成させ,現在でもその運河跡が残っている。ローマ時代にも改修工事が行われて使用されていたが,やがて土砂の堆積によって荒廃してしまった。…

※「ネコ2世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android