カルケミシュ(英語表記)Carchemish

精選版 日本国語大辞典 「カルケミシュ」の意味・読み・例文・類語

カルケミシュ

  1. ( Carchemish ) 古代オリエント、ユーフラテス上流河畔にあった古代都市メソポタミアと、地中海沿岸とを結ぶ貿易交通要路。紀元前二〇〇〇年紀から一〇〇〇年紀にかけて栄え、紀元前七一七年アッシリアのサルゴン二世に滅ぼされた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルケミシュ」の意味・わかりやすい解説

カルケミシュ
Carchemish

北シリアの要衝を占めた古代都市。ローマ時代にはエウロポスと呼ばれた。ユーフラテス川に面した軍事的・経済的要衝にあり,常に周囲の大国の係争点となった。現在は遺跡。 1911~20年発掘調査されたが,厚い2重の城壁と城門,王宮などから成り,北シリア独特の折衷的様式を示す浮彫のついた石板が出土した。歴史は新石器時代に始り,ウルク期,ジェムデット・ナスル期を経て,青銅器時代,鉄器時代,ローマ時代にいたる。その間,ほかの都市出土の楔形文字の資料により,独立した都市国家時代と周囲の国の属領時代を繰返したことがわかる。前 18世紀のマリ文書によれば,ユーフラテス川下流地域にアナトリア木材を輸出していたことが記されている。次にヒッタイト王シュッピルリウマシュ1世はアッシリア,ミタンニエジプトに対する緩衝地帯としてこの地を息子に支配させた。しかし前 1200年頃「海の民」に侵入され一時衰退した。その後アラム人の支配する小王国ができ,再び通商,貿易の中心として栄え,アッシリアのサルゴン2世占領 (前 717) ,バビロニア王ネブカドネザル2世とエジプト軍の戦い (前 605) の舞台ともなった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「カルケミシュ」の意味・わかりやすい解説

カルケミシュ
Carchemish

北シリア(現,トルコ領),ユーフラテス川西岸の古代都市。ヒッタイト帝国と連合していたが,しばしばエジプト第18,19王朝の征服地名表に出る(ラメセス2世カデシュの戦でもヒッタイト側)。前12世紀以後はアッシリアの攻撃目標となった(前717年,属州化)。前605年には城下において,エジプトと新バビロニアの間に決戦が行われた。交易の拠点として栄え,ヒッタイト・アラム系の文化遺物が出土。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「カルケミシュ」の意味・わかりやすい解説

カルケミシュ

トルコ,シリア国境に近いユーフラテス川中流西岸の古都。カルガミシュともいい,現在名はジェラーブルス。ヒッタイト帝国の北シリアにおける中心的な交易都市であったが,アッシリアのサルゴン2世が征服。前605年,同地でエジプトと新バビロニアが決戦した。ヒッタイト・アラム系の遺物が出土している。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「カルケミシュ」の解説

カルケミシュ
Carchemish

ユーフラテス川に臨む北シリアの古代都市。前16世紀頃よりオリエント商業の要衝。ヒッタイト占領時代にはここに副王が置かれ,そのシリア支配の中心となった。前12世紀以降はここを中心に,新ヒッタイトと呼ばれる都市国家群が前700年頃まで栄えた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android