ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(読み)ねっとぜろのためのぐらすごーきんゆうどうめい(英語表記)Glasgow Financial Alliance for Net Zero

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟
ねっとぜろのためのぐらすごーきんゆうどうめい
Glasgow Financial Alliance for Net Zero

2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ、ネットゼロ)の実現を目ざす民間金融機関の連合体を包括する世界組織。2021年4月にグラスゴーで開かれた気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で正式に発足した。略称はGFANZ(ジーファンズ)。

 国連が推進するキャンペーン「カーボンニュートラルへの競争Race to Zero」に呼応し、気候変動に関する科学的知見に裏づけられた投融資助言を通じて、投融資先のカーボンニュートラル実現に向けた支援や働きかけを行う。共同議長は、イングランド銀行前総裁で気候変動対策・ファイナンス担当の国連事務総長特使を務めるマーク・カーニーMark Carney(1965― )と、金融情報サービス企業ブルームバーグの創業者であるマイケル・ブルームバーグMichael Bloomberg(1942― )。傘下には、運用会社の連合体であるNet Zero Asset Managers initiative(NZAM)、ネットゼロを目ざす銀行の連合体であるNet-Zero Banking Alliance(NZBA)など、金融諸分野(銀行、証券、保険、投資顧問、格づけ会社、監査機関など)の7連合体がある。

 45か国450以上の機関が加盟しており、日本からも3メガバンクなど18の金融機関が参加している(2022年5月現在)。加盟金融機関の総資産は130兆ドル。2050年までに加盟金融機関を通じて100兆ドル規模の投融資を目ざしており、中間点の2030年までに必要な投融資額は32兆ドルと試算している。日本では、2030年までに加盟金融機関による必要な投融資額として8000億ドルを見込んでいる。GFANZは2022年6月に、カーボンニュートラルへの移行計画に向けた指針を取りまとめたガイダンスを公表した。

[中川淳司 2022年10月20日]

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