気候変動枠組み条約(読み)きこうへんどうわくぐみじょうやく(その他表記)United Nations Framework Convention on Climate Change

日本大百科全書(ニッポニカ) 「気候変動枠組み条約」の意味・わかりやすい解説

気候変動枠組み条約
きこうへんどうわくぐみじょうやく
United Nations Framework Convention on Climate Change

人為的な理由による地球温暖化の防止を目的とする条約であり、1992年6月に環境開発に関する国連会議(地球サミット)において採択された。略称UNFCCC。

 1988年に設置されたIPCC気候変動に関する政府間パネル)において温暖化防止のための対応策が検討され、1989年のノールトベイク宣言および1990年の第2回世界気候会議において条約化が合意された。

 この条約において、先進諸国は、二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガス排出量を2000年までに1990年レベルに戻すことを目標とする計画を公表して誓約を行い、先導的な役割を果たすよう求められた。その計画の達成状況は、締約国会議において定期的に審査され、改善措置が検討されている。他方、温室効果ガスの規制は開発途上諸国の開発に大きな影響を与えるため、これらの諸国に対する資金と技術の援助が求められた。

 その後、1997年(平成9)京都で気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3:3rd Meeting of the Conference of the Parties)が開かれ、排出規制への法的拘束力をもつ文書として京都議定書が採択された。温室効果ガスの排出量を2008~2012年の間(第一約束期間)に1990年水準に比べて先進国全体で5.2%削減するという目標を設定するなどの内容が盛り込まれた。また、2013年から2020年までの第二約束期間については、1990年比で18%削減とされた。なお、日本、ロシアニュージーランドは、第二約束期間には参加しなかった(カナダは2012年に京都議定書から離脱)。

 2015年末には京都議定書の後継としてパリ協定が採択され、その下の削減措置は2021年から適用されている。

[磯崎博司 2021年9月17日]

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知恵蔵 「気候変動枠組み条約」の解説

気候変動枠組み条約

地球温暖化防止の国際的な取り決めを定めた初の条約。通称地球温暖化防止条約。1990年の第2回世界気候会議で条約作りを始める勧告が出され、92年5月の国連総会で条約が採択。同年の地球サミットで155カ国が署名、94年3月発効した。2006年4月現在、189カ国・地域が締約。「気候に危険な人為的影響を及ぼすことにならない水準で、温室効果ガスの大気中の濃度を安定化させる」ことを条約の目標に掲げる。先進国の責務として、(1)90年代末までに温室効果ガスの排出量を90年レベルに戻す、(2)各国はガスの排出と吸収の目録を作り、温暖化対策の国別計画を策定する。拘束力はなくドイツ、英国などは90年レベルを達成したが、日本、米国は失敗。95年の第1回締約国会議(COP:Conference of the Parties)で、97年のCOP3での拘束力のある議定書採択を決めた。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「気候変動枠組み条約」の意味・わかりやすい解説

気候変動枠組み条約【きこうへんどうわくぐみじょうやく】

地球温暖化防止条約

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