日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネドンセル」の意味・わかりやすい解説
ネドンセル
ねどんせる
Maurice Nédoncelle
(1905―1976)
フランスの哲学者。サン・シュルピス神学校とパリ大学で学び、1930年司祭、1946年以後ストラスブール大学神学部教授、学部長などを務めた。J・H・ニューマンを中心とするイギリスの思想の研究から出発し、人格と自由を中核とする哲学体系を構築し、人格主義者の一人とされる。彼によれば自由とは絶えず自己をつくっていくことであるが、それは他者との共生としての愛を前提とする。科学、法、芸術などにみられるこの人格の創造性は、超越者としての神がわれわれに内在することのしるしである。主著は『愛と人格の哲学に向けて』Vers une philosophie de l'amour et de la personne(1957)である。
[佐々木健一 2015年5月19日]
『中村清著『モーリス・ネドンセル』(『続・現代フランス哲学』所収・1970・雄渾社)』