ネーサン(読み)ねーさん(その他表記)George Jean Nathan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネーサン」の意味・わかりやすい解説

ネーサン(George Jean Nathan)
ねーさん
George Jean Nathan
(1882―1958)

アメリカ演劇評論家、雑誌編集者。1905年にジャーナリズムに身を投じて以来、幅広い知識と独特の文体を武器にアメリカ演劇の質の向上を目ざして健筆を振るった。1910~1920年代にはメンケンとともに文芸雑誌『スマート・セット』や『アメリカン・マーキュリー』を編集、劇作家E・オニールをはじめ多くの新人作家を発掘して演劇界を活気づけた。その後も長年にわたり多くの新聞・雑誌で劇評を担当、評論集の数も多い。

[一ノ瀬和夫]


ネーサン(Robert Nathan)
ねーさん
Robert Nathan
(1894―1985)

アメリカの小説家。ニューヨーク市に生まれ、スイスの私立校とハーバード大学で学んだ。作品には風刺を込めたファンタジーが多く、繊細な詩的感覚と穏健なユーモアが持ち味。不況に苦しむ人々を描いたキリスト教福音(ふくいん)の寓話(ぐうわ)『いまひとたびの春』(1933)、妖精(ようせい)の少女から霊感を受ける若い画家の物語『ジェニー肖像』(1940)などがある。

[大浦暁生]

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改訂新版 世界大百科事典 「ネーサン」の意味・わかりやすい解説

ネーサン
Robert Nathan
生没年:1894-1985

アメリカの小説家,詩人,劇作家。ニューヨーク生れ。ハーバード大学卒業。1970年に7度目の結婚をした。1919年《ピーター・キンドレッド》で作家としてデビュー天使と人妻の交渉を描いた《牧師の妻》(1928),不況の犠牲になった人たちを共感をこめて書いた《いまひとたびの春》(1933),実在しない少女と青年画家の関係を抒情的にうたった,現代のおとぎ話ともいうべき《ジェニーの肖像》(1940)がとくに有名で,いずれも映画化されている。
執筆者:


ネーサン
George Jean Nathan
生没年:1882-1958

アメリカの劇評家。1905年に《ニューヨーク・ヘラルド》紙に寄稿して以後,50年近くにわたって多くの新聞・雑誌に劇評を発表。既成の娯楽劇を排撃して,問題性のある思想劇を唱道し,H.L.メンケンとともに編集した雑誌《スマート・セット》によって,イプセン,G.B.ショー,ストリンドベリなど,ヨーロッパの劇作家の紹介に努めた。E.G.オニールやS.オケーシーを支持したことでも知られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネーサン」の意味・わかりやすい解説

ネーサン
Nathan, George Jean

[生]1882.2.14. インディアナ,フォートウェーン
[没]1958.8.8. ニューヨーク
アメリカの文芸批評家,劇評家。コーネル大学を卒業後,イタリアのボローニャ大学で学び,1905年頃から劇評活動に入る。一方,H.メンケンとともに文芸雑誌『スマート・セット』の編集を担当 (1914~23) ,E.オニールの諸作を掲載すると同時に,ピランデッロをはじめとする海外の新しい戯曲を紹介し,アメリカ演劇の発展に大きな影響を与えた。著書『批評家と演劇』 The Critic and the Drama (22) ,『夜の芸術』 Art of the Night (28) ,『演劇百科』 Encyclopaedia of the Theatre (40) その他多数。

ネーサン
Nathan, Robert (Gruntal)

[生]1894.1.2. ニューヨーク
[没]1985.5.25. ロサンゼルス
アメリカの小説家,詩人。自伝的小説『ピーター・キンドレッド』 Peter Kindred (1919) 以下,『司教の妻』 The Bishop's Wife (28) ,『ジェニーの肖像』 Portrait of Jennie (40) ,『ウィットル氏と朝の星』 Mr. Whittle and the Morning Star (47) ,『サー・ヘンリー』 Sir Henry (55) など多くの小説があり,ユーモアとウイットに富んだファンタジーで人気がある。ほかに『若者も年をとる』 Youth Grows Old (22) 以下の詩集,『夕べの音楽』 Music at Evening (35) などの戯曲がある。

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