ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノウァチアヌス」の意味・わかりやすい解説
ノウァチアヌス
Novatianus
[没]258頃
教皇コルネリウス(在位 251~253)の対立教皇(在位 251)。学識ある神学者として高い評価を受けていたが,コルネリウスが教皇に選出されると,背教者(→背教)への厳格主義を推進した。大多数は教皇を支持したが,一部の者がノウァチアヌス支持を表明したことから,対立教皇として登位した。ノウァチアヌスと支持者らは 251年に教会会議で破門された。コルネリウスはノウァチアヌス派に対抗したが,離教者たちはやがて宗派をなしてローマ帝国中に広がり,当時のキリスト教世界全体に独自の教会組織を築き上げ,数世紀にわたって存続した。ノウァチアヌスはまた,ラテン語で著書を残した最初のローマ人神学者である。"De trinitate"は最も重要な著作と考えられており,当時の異端の説に対して正統の三位一体の教義を要約し,擁護している。258年頃,ローマ皇帝ウァレリアヌス(在位 253~260)統治下で殉教した。
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