日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルネリウス」の意味・わかりやすい解説
コルネリウス(Hans Cornelius)
こるねりうす
Hans Cornelius
(1863―1947)
ドイツの実証主義哲学者。ミュンヘンで生まれ、1903年以降母校のミュンヘン大学で教えたあと、1910年フランクフルト大学教授となる。新カント主義とマッハを中心とする反形而上(けいじじょう)学の実証主義の間に位置して、彼自身は認識のいっさいを感覚的経験の直接所与に還元することを主張し、こうして哲学の基礎を心理学に置いた。しかしマッハ流の純粋な経験論に対しては、これら意識経験の究極の根拠を、むしろカント的な統覚にみようとした。著書に『経験科学としての心理学』Psychologie als Erfahrungswissenschaft(1897)や『造形芸術の基本法則』Elementargesetze der bildenden Kunst(1908)などがある。
[西村清和 2015年2月17日]
コルネリウス(ローマ教皇)
こるねりうす
Cornelius
(?―253)
ローマ教皇(在位251~253)、カトリックの聖人。迫害による背教者に寛大であったため、対立主教ノバティアヌス一派の激しい非難を受けたが、251年ローマに宗教会議を招集し、多くの聖職者によりその立場を支持された。のちローマ皇帝ガルスGallus(在位251~253)に追放され、ローマ郊外で殉教した。アンティオキアの司祭ファビウスFabiusにあてた書簡は、当時のローマ教会の機構を知る貴重な資料になっている。コルネリウスという名には角(つの)という意味があるため、角のある家畜の保護の聖人とされている。
[大谷啓治 2017年11月17日]