ノラナ(その他表記)violet-coloured nolana
Nolana paradoxa Lindl.

改訂新版 世界大百科事典 「ノラナ」の意味・わかりやすい解説

ノラナ
violet-coloured nolana
Nolana paradoxa Lindl.

双子葉植物,ノラナ科の多年草。観賞用に花壇などで植栽される。直根状の根があり,茎は中軸のものはやや直立し,高さ30cmほどになり,分枝は匍匐(ほふく)し,ときには1mほどに広がる。葉はやや多肉質で葉柄があり,互生あるいは対生状につき,葉身は卵状あるいは卵状長楕円形で全縁。葉腋(ようえき)から,葉とほぼ同長の花梗を出し,花を頂生する。花は青紫色,直径約3~6cmほどのらっぱ状の合弁花で,花冠の中央部は白く,さらに中心部は黄色で,色彩の対比が鮮麗である。5枚の卵三角形の萼片があり,花冠も5裂している。花期は夏から秋。近縁種ペルー原産のハイナスN.prostrata L.があり,やはり栽植される。株が広がるので露地植えにされることが多い。普通は春に種子まき,一年草的に扱う。土質排水のよい軽い土を好み,重粘で湿った所はさける。

 ノラナ科Nolanaceaeはナス科に近縁の,2属70種ほどの小さな群で,そのうちノラナ属は60種ほどが南アメリカ太平洋岸の乾燥地域で分化をしている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノラナ」の意味・わかりやすい解説

ノラナ
のらな
[学] Nolana

ノラナ科ノラナ属の総称。匍匐(ほふく)性の多年草。チリ、ペルーなどの海辺に自生する。6~9月、葉腋(ようえき)にヒルガオに似た紫色、まれに白色の花を鐘状につける。ランセオラータ種N. lanceolata Miers.は鮮青色花で中心が黄白色になる。パラドクサ種N. paradoxa Lindl.は青色花で中心が白色。ほかにプロストラータ種N. prostrata L.などの品種がある。いずれも茎がよく分枝し、成長もよいので、被覆植物として利用する。用土は砂質のものがよく日当りでよく育つ。繁殖は実生(みしょう)で容易にできる。

[金子勝巳]

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