ノリス=ラガーディア法(読み)ノリスラガーディアほう(その他表記)Norris-La Guardia Act

改訂新版 世界大百科事典 「ノリス=ラガーディア法」の意味・わかりやすい解説

ノリス=ラ・ガーディア法 (ノリスラガーディアほう)
Norris-La Guardia Act

1932年制定された労使関係に関するアメリカの法律。別名〈反禁止命令法Anti-Injunction Act〉。名称は提案者ノリスGeorge W.NorrisとF.H.ラ・ガーディアに由来する。1920年代には経営者は,組合に加入しないことを雇用の条件とする黄犬契約を結んだり,ストライキが発生すると裁判所差止命令を申請して中止させるなど,労働組合活動を妨害することができた。この法律は黄犬契約を無効と定め,純粋に経済的な圧力であれば,雇用主損害が大きくても,ストライキ差止命令を発することができないと規定した。フーバー大統領のときに制定されたが,ニューディール期の全国産業復興法(NIRAニラ))第7条a項やワグナー法のさきがけとして,労働組合運動の発展に大きく貢献した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノリス=ラガーディア法」の意味・わかりやすい解説

ノリス=ラガーディア法
ノリス=ラガーディアほう
Norris-LaGuadia Act

1932年3月に制定されたアメリカの反差止命令法。正当な争議行為に対する裁判所の差止命令を禁止し,差止命令が許される場合でもその要件手続を厳格かつ詳細に定めるとともに差止命令の内容,効果を限定した。また組合を承認せず組合員を雇用しようとしない使用者に対し,組織的圧力を行使することが自由となり,さらに黄犬契約のような反組合契約は無効であるとした。 19世紀末から本法の制定にいたるまで,アメリカの使用者たちは,ストライキを抑圧する有効な法的手段として裁判所の差止命令を頻繁に利用したが,それらの抑制に効果があった。ワグナー法に先立つ画期的な労働立法とされる。

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世界大百科事典(旧版)内のノリス=ラガーディア法の言及

【労働法】より

…まずイギリスでは団結禁止撤廃法(1824‐25)により労働者の組合加入の自由が認められ,その後19世紀末にかけての一連の法律により労働組合の法的地位が強化され,労働争議法(1906)により組合の争議に対する民事免責が認められるに至った。フランスでは1864年に法が団結禁止を撤廃し,次いで労働組合法(1884)が組合加入の自由を認め,またアメリカでは,ハント事件判決(1842)により組合の団体活動を刑事共謀であるとする判例法理が廃棄され,20世紀に入ってクレートン法(1914),およびノリス=ラ・ガーディア法(1932)により争議行為の民事免責が認められるに至る。一方,ドイツその他の西欧諸国でも,第1次大戦前後までには労働組合活動の自由が認められ,第2次大戦後までには,なんらかのかたちで争議行為の民事・刑事免責が与えられることになった。…

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