労働者が,すでに労働組合に加入している場合は組合を脱退することを,まだ加入していない場合はこれからも加入しないことを,雇用条件とする労使間の契約。通常は採用時に使用者側の要請によって締結され,これに違反したら解雇する旨の約束を含む。組合の組織化をあらかじめ排除,妨害するねらいをもつので,労働組合法は,このような契約の締結を不当労働行為として禁止している(7条1号)。学説上は,組合活動を制約する他の契約,たとえば,組合を結成しないとか,組合に加入しても積極的な活動を行わないことを雇用条件とすることも,黄犬契約とみなしている。黄犬契約は,1920年代のアメリカにおいて,労働組合の組織化を妨害する手段として頻繁に利用された。このような契約は,もっぱら使用者の利益のみに奉仕するので,組合はこれを黄犬(yellow dog=負犬の意味)契約,もしくは反組合的(anti-union)契約と称したといわれる。
→不当労働行為
執筆者:道幸 哲也
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労働契約の締結に際し、労働者が労働組合に加入しないこと、すでに加入している場合はこれから脱退すること、さらに組合活動をしないことを雇用条件とする契約のこと。名称の由来は、アメリカでは黄色い縞(しま)yellow streakのある犬は臆病(おくびょう)と考えられており、またyellow-dogには卑劣漢の意味のあるところから、転じて、使用者の圧力に屈し、労働者仲間の連帯に背を向ける労働者の結ぶ契約を、非難と軽蔑(けいべつ)の意味を込めてこうよんだことにある。このような契約は労働者の団結権を侵害するため無効であり、日本では労働組合法第7条1号で、不当労働行為の一類型として禁止されている。
[吉田美喜夫]
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…組合の組織化をあらかじめ排除,妨害するねらいをもつので,労働組合法は,このような契約の締結を不当労働行為として禁止している(7条1号)。学説上は,組合活動を制約する他の契約,たとえば,組合を結成しないとか,組合に加入しても積極的な活動を行わないことを雇用条件とすることも,黄犬契約とみなしている。黄犬契約は,1920年代のアメリカにおいて,労働組合の組織化を妨害する手段として頻繁に利用された。…
…本人だけではなく,仲間の組合員に対する見せしめ的効果の大きい端的な反組合的行為である。この不利益取扱いの態様としては,労働契約締結上のものとして,採用拒否および黄犬(おうけん)契約の締結があげられる。黄犬契約とは,組合から脱退すること,もしくはそれに加入しないことを雇用(継続)の条件とする労働契約である。…
※「黄犬契約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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