日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーキンズ」の意味・わかりやすい解説
ハーキンズ
はーきんず
William Draper Harkins
(1873―1951)
アメリカの物理化学者。スタンフォード大学卒業後、1900年モンタナ大学で教職につき、1912年シカゴ大学助教授、のち教授。政府機関や企業の顧問を数多く務めた。アメリカにおける核反応の初期の研究者であり、また界面化学の分野で多くの業績を残した。1915年、水素の核融合において質量の一部がエネルギーに転換されることを示し、それが星の熱源であるという考えを提出。また偶数原子番号の元素が奇数番号のものより安定であり、それらの存在量が多いこと(ハーキンズの法則)を示した。このほか、原子量の端数が同位体(アイソトープ)の存在によるとの考え(1916~1921)、中性子や重水素(ジュウテリウム)の存在の予言(1920)、α(アルファ)粒子の照射による窒素原子から酸素への変換(1925)などがある。
界面化学では、表面張力の精密測定(1909~1919)、単分子膜の性質(1917~1937)、固体粉末表面における気体の吸着(1937~1950)、乳化重合の最適条件の研究などがある。
[内田正夫 2018年9月19日]