ハードル競走(読み)はーどるきょうそう(英語表記)hurdle race

翻訳|hurdle race

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハードル競走」の意味・わかりやすい解説

ハードル競走
はーどるきょうそう
hurdle race

陸上競技のトラック種目の一つ。トラック内に置かれた10台のハードルを跳び越え、タイムを争う。オリンピックでは男子が110メートルハードルと400メートルハードル、女子は100メートルハードル、400メートルハードルの各2種目が行われる。ハードルの高さは男子110メートルが106.7センチメートル、同400メートルが91.4センチメートル、女子100メートルが83.8センチメートル、同400メートルが76.2センチメートル。

 ハードル間の距離は各種目とも一定しており、距離が長い種目ほど間隔は広く、高さは低くなっている。オリンピックでは、男子の110メートルハードルが1896年のアテネ大会から、400メートルハードルは1900年のパリ大会から正式種目となった。女子は、1932年のロサンゼルス大会から1968年のメキシコ大会までは80メートルハードルで行われ、日本では依田郁子(よだいくこ)(1938―1983)が1964年(昭和39)の東京大会で5位に入賞した。しかし女性の体力向上に伴い、1972年のミュンヘン大会からは100メートルハードルに変更され、1984年のロサンゼルス大会からは男子同様400メートルハードルも加わって2種目となった。いずれの種目も各人の決められたレーン内を走るが、次の場合は失格となる。

 (1)足または脚がハードルの外側にはみ出てバーの高さより低い位置を通ったとき。(2)わざと手または足でハードルを倒したと審判長が判断した場合。

 わざとでなければハードルを何台倒しても失格とはならない。しかし、通常ハードルを倒せばその分タイムロスがあり、不利である。

 400メートルハードルは、ハードル間(インターバル)の歩数の関係で踏切足が左右逆転するときもあり、スピードに加えてどちらの踏切足でもハードリングをこなせる器用さが必要とされる。男子では、オリンピックの1976年モントリオール大会と1984年ロサンゼルス大会で優勝(1980年モスクワ大会はボイコットのため不参加)したエドウィン・モーゼスEdwin Moses(アメリカ。1955― )が、同種目で107連勝(予選を含めると122連勝)という驚異的な連勝記録を樹立し「ハードルの神様」といわれた。2022年1月時点での世界記録は、男子110メートルハードルがアリエス・メリットAries Merritt(アメリカ。1985― )の12秒80(2012年)、男子400メートルハードルはカールステン・ワーホムKarsten Warholm(ノルウェー。1996― )の45秒94(2021年)、女子100メートルハードルはケンドラ・ハリソンKendra Harrison(アメリカ。1992― )の12秒20(2016年)、女子400メートルハードルはシドニー・マクラフリンSydney McLaughlin(アメリカ。1999― )の51秒46(2021年)である。

[加藤博夫・中西利夫 2022年2月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハードル競走」の意味・わかりやすい解説

ハードル競走
ハードルきょうそう
hurdling

陸上競技のトラック種目の一つで,一定の間隔に配置された 10個のハードルを跳び越えながら走り,速さを競う。男子は 110m,400m,女子は 100m,400mがある。ハードルは長さ 1.18~1.2m,幅 7cm,厚さ1~2.5cmの横木を金属製の台に固定したもので,黒と白で塗装されている。高さは男子 110mの場合は 106.7cm,400mは 91.4cm,女子 100mは 84cm,400mは 76.2cmとなっている。競技セパレートコースで行なわれ,ハードルを倒しても失格とはならないが,身体一部が横木から出た場合は失格となる。

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