タイム(読み)たいむ(その他表記)Time

翻訳|Time

デジタル大辞泉 「タイム」の意味・読み・例文・類語

タイム(time)

時。時間。時刻。「ディナータイム」「フルタイム
速さを争う運動競技で、所要の時間。記録。「タイムをはかる」「いいタイムが出る」「ラップタイム
運動競技の試合で、審判が競技を一時中止させること。また、その時間。競技者が要求することもある。「タイムをかける」
[類語](1時間アワー/(3たんま待った

タイム(thyme)

シソ科の多年草。茎は地をはい、枝が直立して披針形の葉をつけ、低木状となる。夏に淡紅紫色の小花が咲く。全体に強い芳香があり、香辛料として料理に用いる。地中海沿岸地方の原産。立麝香草たちじゃこうそう木立百里香きだちひゃくりこう

タイム(Time)

米国の週刊ニュース雑誌。1923年に創刊。ニュースを分類した編集が特色。

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精選版 日本国語大辞典 「タイム」の意味・読み・例文・類語

タイム

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] time )
    1. とき。時間。時刻。
      1. [初出の実例]「全くタイムの籠に控縛せらるるを」(出典:徳川氏時代の平民的理想(1892)〈北村透谷〉一)
    2. あることを行なうのに要した時間。また特に、競走・競泳など時間を争う運動競技で一定の距離を進むのに要した時間。
      1. [初出の実例]「どれ一つとして、いいタイムをのこしたことはない」(出典:権といふ男(1933)〈張赫宙〉)
    3. 運動競技で、正規の休止時間以外の、試合の一時中止。また、審判によるその命令。
      1. [初出の実例]「仕合者に、差支が出来たり、〈略〉其他仕合をするに故障が起れば、審判官は『タイム』(Time)と呼んで、休戦の令を下します」(出典:新式ベースボール術(1898)〈高橋雄次郎〉六)
  2. [ 2 ] ( Time ) アメリカのタイム社発行の週刊ニュース雑誌。世界中で購読されている。一九二三年創刊。

タイム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] thyme ) 植物「たちじゃこうそう(立麝香草)」の異名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイム」の意味・わかりやすい解説

タイム(週刊誌)
たいむ
Time

アメリカのニュース週刊誌。1923年、H・R・ルースとハッデンBriton Hadden(1898―1929)の2人によって創刊されたとき、わずか32ページ、読者は9000人だった。ニュースそのものよりもニュースの解説を主眼とした雑誌であることは今も昔も変わりはない。ニュース雑誌としては、発行部数と広告収入において、つねにナンバーワンを誇ってきた。2010年時点で約400万部、毎週月曜日発行。ルースは『タイム』の成功によって、『フォーチュン』『ライフ』を創刊し、雑誌王国タイム社Time Inc.を築き上げた。『タイム』の記事はかならずしも客観的だったわけではなく、よくも悪くも創刊編集者ルースの考えや意向を反映した。彼はプロテスタントで共和党支持、フリー・エンタープライズ(自由企業)を主張した、使命感に燃える出版人だった。しかしルース亡きあとは、『タイム』は公正とバランスを目ざすようになった。『タイム』もまたほかの雑誌と同じく、アメリカ社会とともに変わってきた。

 創刊から現在までに『タイム』が新造したことばは無数にあって、それらは辞典に収載されたものも多い。socialite(名士)、kudos(栄光)、guesstimate(当てずっぽう)、tycoon(政財界の大物)などである。セカンド・ワールド・ウォー(第二次世界大戦)も『タイム』の命名である。また、年末に選ぶマン・オブ・ザ・イヤー(1999年にパーソン・オブ・ザ・イヤーに改称)で、1938年にはヒトラーが、1939年と1942年にはスターリンが表紙を飾っている。1982年に選ばれたのは人間でなくコンピュータだったので話題になった。『タイム』は、読者のみならずジャーナリズム、とくに新聞にも大きな影響を与えてきた。『タイム』の記事は久しく無署名だったが、1971年以降は署名入りである。当時、タイム社は巨大メディア企業タイム・ワーナーTime Warner Inc.の雑誌出版部門を占め、100タイトル以上の雑誌を出版していた。

常盤新平

その後の動き

タイム・ワーナーは2001年にインターネット接続サービスのAOLと合併して、AOLタイム・ワーナーAOL Time Warnerとなったが、AOL部門の業績悪化に伴い2003年に社名をタイム・ワーナーに戻した。その後、2014年に雑誌部門の「タイム」はスピンオフ(分離・独立)され、2018年メディア大手のメレディスMeredith Corporationに売却された。さらに雑誌『タイム』は同年末にIT大手のセールスフォース・ドットコムSalesforce.comの最高経営責任者マーク・ベニオフMarc Benioff(1964― )夫妻に売却された。なお、タイム・ワーナーも2016年に大手通信会社AT&Tに買収されている。

[編集部 2018年12月13日]

『金平聖之助著『アメリカの雑誌企業』(1979・出版同人)』『常盤新平著『アメリカン・マガジンの世紀』(1986・筑摩書房)』『桑名淳二著『データで見るアメリカ雑誌』(2000・アメリカ出版研究会)』『デイヴィッド・ハルパースタム著、筑紫哲也・東郷茂彦・斎田一路訳『メディアの権力(3)』(朝日文庫)』『Robert Edwin HerzsteinHenry R. Luce ; A Political Portrait of the Man Who Created the American Century(1994, C. Scribner's Sons, New York)』『Frederick S. VossFaces of Time ; 75 Years of Time Magazine Cover Portraits(1998, Little, Brown and Company, New York)』


タイム(香料植物)
たいむ
thyme
[学] Thymus vulgaris L.

シソ科(APG分類:シソ科)の小低木。南ヨーロッパ原産の香料植物。潮風を受ける乾燥した海岸丘陵地に適し、南ヨーロッパで栽培されている。茎は地をはい、直立した枝は高さ30センチメートルほどで、5~7ミリメートルの披針(ひしん)形の葉を多くつける。夏、枝先に淡紅紫色の小花が群がって開く。葉や若い枝、花などに強い芳香があり、和名をタチジャコウソウ(立麝香草)、またはキダチヒャクリコウ(木立百里香)という。芳香の精油成分はチモール、シメン、ピネン、リナロールなどである。ハーブ(香草)として古くから有名で、食品の香料や防腐剤として、薬品の原料や香料として利用されている。日本へは明治時代に渡来し、観賞用として花壇で栽培されている。

[星川清親 2021年9月17日]

食品

主産地はフランス、スペイン、ポルトガルギリシアであるが、アメリカで栽培されているものには葉の細いフレンチタイムと、葉の形のさまざまなレモンタイムがある。葉を乾燥させたものが香辛料として用いられ、芳香が非常に特徴的で、独特の薬味臭と舌をしびれさすような辛味がある。したがって、薬味としてハマグリや魚のチャウダーに用いたり、ソーセージ、肉や食鳥用のグレービーソース、フィッシュソース、フレッシュトマト、リキュールベネディクティンの風味づけに使われる。ヨーロッパでは、昔からタイムには人間の能力を高める力があるといわれており、勇気と大胆さのシンボルともされ、「あなたはタイムの香りがする」ということばはその人に対する最高の賛辞として用いられた。

[齋藤 浩 2021年9月17日]


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改訂新版 世界大百科事典 「タイム」の意味・わかりやすい解説

タイム
Time

アメリカの代表的なニュース雑誌。週刊。1923年3月,ルースHenry Robinson Luce(1898-1967)とハドンBriton Hadden(1898-1929)が創刊。創刊号の予約読者はわずか9000人であったが,現在発行部数は約410万(1996)。《タイム》は海外ニュース,科学,宗教などの報道が的確さと信頼性でとくにすぐれているといわれてきた。創刊者の一人ルースはプロテスタント,共和党,自由競争を支持したが,最近は必ずしも共和党支持ではない。ただし,《ニューズウィーク》とともに東部偏重であることを非難されてきた。北米版,南米版,アジア版,ヨーロッパ版などを発行し,世界的に流通している。なお,ルースはビジネス誌《フォーチュン》やフォト・ジャーナル誌《ライフ》なども創刊した。また,発行元のタイム・ライフ社は,映画会社ワーナー・ブラザースを買収し,タイム・ワーナーと社名を変更していたが,95年にはCNNを傘下に置くターナー・ブロードキャスティング・システムを買収,世界最大級のメディア企業となっている。2000年には,さらにアメリカ・オンライン社を買収,AOLタイム・ワーナー社となった。
執筆者:


タイム
common thyme
Thymus vulgaris L.

イブキジャコウソウに類縁のあるシソ科の株だちとなる小低木。タチジャコウソウ,キダチヒャクリコウ(木立百里香)ともいう。代表的なハーブの一種で,古くからヨーロッパで知られ,とくにフランスなど地中海沿岸地域に多い。日本へは明治になってから渡来した。丈は30cm足らずで,細い枝に5~7mmの小さい葉を密につける。初夏に枝先に淡紅紫色,まれに白色の小花を群がって咲かせ,芳香がある。また若茎や葉も強い芳香をもち,thyme(力)という名前は,香りの強さをあらわすとも,この香りで力が湧くからだともいわれる。芳香の主成分は,チモール,カルバクロール,シメン,ピネン,リナロールなどからなる精油である。生葉をとってそのまま利用するか,あるいは開花期の全草を乾燥して利用する。ソース,シチュー,スープやハム,ソーセージなどに入れて,香りをつける。防腐の効果もあるという。カレーに入れてもよく,肉,魚,貝料理にもよくあう。薬用として鎮咳(ちんがい)の効がある。ふつう春に種をまくが,挿木でもよくふえる。3~5年目ごとに植えかえると収量が上がる。またロックガーデンなどに観賞用に栽植されることもある。
執筆者:


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食の医学館 「タイム」の解説

タイム

タイムは、和名をタチジャコウソウといいます。その名のとおり、たいへん強く心地よい香りをもち、ヨーロッパでは古くから、もっとも重要なハーブの1つに数えられてきました。また、勇気や力のシンボルとされ、「あなたはタイムの香りがする」といえば、それは最高の誉(ほ)め言葉だったといいます。
 タイムのもつおもな作用は、抗菌、収斂(しゅうれん)、抗けいれん、利尿、血行促進、消化器官の活動促進など。具体的症状としては、せき、たん、ぜんそく、胃弱、胃けいれんなどの改善に効果を発揮します。
○外用としての使い方
 また、煎(せん)じだした液や精油を外用薬として入浴剤や湿布に用いれば、打撲(だぼく)や痛風(つうふう)、リウマチ、かぜに有効。ハーブティーでうがいをすれば歯痛にも効果があります。ただし、精油には子宮を刺激する作用があるので、妊娠中の人は使用量をひかえるようにしてください。
〈魚介類の臭み消しや煮込み料理の風味付けには不可欠〉
 タイムの持ち味は、特有のすがすがしい芳香とほろにがさにあります。この香りは、魚介類の生臭みを消すのに、たいへん効果的です。また、長時間加熱しても香りが飛ばないことから、シチューなどの煮込み料理にも欠かせません。さらに各種の肉料理、スープ、ピクルス、サラダドレッシングなど、極めて幅広い料理に用いられています。
 このように使い道の広いタイムですが、香りが強いので、その分使いすぎると料理の風味をくずしてしまいます。
 とくに野菜やたまごの料理は、使用量に注意が必要です。

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百科事典マイペディア 「タイム」の意味・わかりやすい解説

タイム(雑誌)【タイム】

米国のタイム・ワーナー社(タイム・ライフ社を母体とし,映画のワーナー・ブラザース社を買収して改名)発行の週刊ニュース誌。1923年H.R.ルースとハドンがニューヨークで創刊。週刊誌時代の先駆をなした。ルースはまたビジネス誌《フォーチュン》,フォト・ジャーナル誌《ライフ》なども創刊した。北米版,南米版,アジア版,ヨーロッパ版などを世界30ヵ国で発行。発行部数約410万部(1998)。
→関連項目ナショナル・ジオグラフィックニューズウィーク

タイム(植物)【タイム】

タチジャコウソウとも。シソ科の常緑小低木。地中海沿岸原産。基部からよく分枝して高さ20〜30cmになる。葉は卵形〜披針形で長さ5〜7mm。初夏,イブキジャコウソウに似た淡紅色の花をつける。代表的なハーブのひとつで,芳香成分チモールを含み,葉や若芽を乾燥し各種の料理やソースの香味料,鎮咳(ちんがい)剤とする。
→関連項目フォン・ド・ボー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイム」の意味・わかりやすい解説

タイム
Time

アメリカのニュース週刊誌。 1923年3月,H.R.ルースと B.ハドンが創刊。創刊号の予約購読者は1万人に満たなかったが,28年以降,着実に部数を伸ばし,最大発行部数は約 600万部。『ニューズウィーク』とともにアメリカの代表的なニュース週刊誌として世界的に読まれている。ヒューマン・インタレストを主眼とする物語調の記事スタイルおよび直截的で凝縮された言葉づかいなどは「タイム・スタイル」といわれ,ニュース雑誌の典型として『ニューズウィーク』,ドイツの『シュピーゲル』などに大きな影響を与えた。

タイム

「タチジャコウソウ(立麝香草)」のページをご覧ください。

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栄養・生化学辞典 「タイム」の解説

タイム

 [Thymus vulgaris].タチジャコウ草ともいう.スパイスの一種.シソ目シソ科タチジャコウソウ属に属する植物の花で,チモール,カルバクロールを含み,芳香がある.

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世界大百科事典(旧版)内のタイムの言及

【イブキジャコウソウ】より

… イブキジャコウソウ属Thymusは約35種があり,ヨーロッパ,アジア,アフリカに分布する。タチジャコウソウは高さ30cm内外になる草本状低木でヨーロッパに産し,葉にチモールthymol(C10H14O)を含み,香料のタイムを採るために栽培される。【村田 源】。…

【アメリカ合衆国】より

…多様な政治意見の表現は,雑誌で行われているとみてよい。《タイム》《ニューズウィーク》などの週刊誌は,中間大衆の〈常識〉を反映するものとして,ある程度日本の全国紙的機能を果たしていた。 一方,20世紀初頭のマックレーカーズ以来,新聞・雑誌が社会的不正の摘発に果たした役割は大きい。…

【CNN】より

…そのことについては,何らかの裏取引の可能性を議会で追求されるなどしたが,CNNの国際的影響力の強さをイラクが認知したことは明らかである。 96年9月,親会社であるターナー・ブロードキャスティング・システムは,雑誌の《タイム》などを発行するタイム・ワーナー社によって買収・合併された。これは,同年7月にウォルト・ディズニーによって,アメリカの三大ネットワーク(ABC,CBS,NBC)中最大のキャピタルシティーズ/ABCが買収されたことや,8月のウェスティングハウス・エレクトリック社によるCBSの買収・合併に対応した動きである。…

※「タイム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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