改訂新版 世界大百科事典 「バティスタ」の意味・わかりやすい解説
バティスタ
Fulgencio Batista y Zaldívar
生没年:1901-73
キューバの軍人出身の大統領。東部オリエンテ州の貧農の子として生まれ,サトウキビ刈り労働者などを経て20歳のとき軍に入隊。1933年9月,当時軍曹であった彼は他の下士官とともに軍の上層部に対してクーデタを起こして革命政権に合流し,同政権下で一躍大佐,参謀総長となり軍の実権を握った。しかし革命政権を裏切って翌年1月に反革命を成功させ,その後はキューバの実力者として君臨するとともに,彼とその軍隊はアメリカによるキューバ支配の支柱の役割を果たした。40年から44年まで大統領を務め,52年の選挙で再び立候補したが,敗北が予想されるや同年3月にクーデタを起こして政権を奪取した。その後カストロが率いる反バティスタ独裁闘争に対して厳しい弾圧を行ったが,59年1月1日ついに政権の座を追われてドミニカ共和国に逃れたのち,亡命先のフロリダで死去した。
執筆者:加茂 雄三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報