マメ科(APG分類:マメ科)の多年草。茎は直立して上方ですこし分枝し、高さ0.8~1.5メートル。葉は奇数羽状複葉で15~41の小葉からなる。小葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ2~4センチメートル。6、7月、茎や枝の先に長い総状花序を出し、多数の蝶形花(ちょうけいか)をつける。花は黄白色で長さ1.5~1.8センチメートル、萼片(がくへん)は小さく、旗弁(きべん)は強く反り返る。雄しべは10本、すべて離生する。豆果は4、5個の種子を含み、線形ですこし四角張り、長さ7~8センチメートル、熟すと側面でぎざぎざに裂ける。本州から九州にかけての山野の草地や川原に生え、朝鮮半島、中国、シベリアにも分布する。名は、眩草(くららぐさ)が詰まったもので、根をかむと目がくらむほど苦いことによる。
[立石庸一 2019年10月18日]
漢方では根を苦参(くじん)といい、マトリンを主とするアルカロイドを含有するので、味は甚だ苦い。健胃、利尿、解熱、止瀉(ししゃ)、殺虫作用があるので、消化不良、腸カタル、皮膚病の治療に用いる。民間では、あせも、皮膚病でかゆみの激しいときに、煎液(せんえき)で湿布したり、煎液を風呂(ふろ)に入れて入浴する。
[長沢元夫 2019年10月18日]
キリスト教の聖女。アッシジ(イタリア)の貴族の子として生まれる。1210年の四旬節(しじゅんせつ)に聖フランチェスコの説教に接し、その精神に心酔して18歳で家を出て、最初の女弟子として誓願をたてた。師と共同でフランシスコ修道会第二会としてクララ会を創設、聖ダミアノ修道院のかたわらの小屋で清貧と苦行の生涯を送った。フリードリヒ2世の傭兵(ようへい)サラセン人の侵入を祈りと聖体で防いだと伝えられ、死後2年で列聖された。その後クララ会はきわめて厳格な観想団体へと発展していった。
[藤川 徹 2017年11月17日]
『上智大学中世思想研究所編・訳『キリスト教史 第4巻』新装版(1991・講談社/改訂版・平凡社ライブラリー)』
日当りのよい山野の草地,河原などで普通にみられるマメ科の多年草。高さ80~150cmとなり,茎に茶褐色の短い毛がある。葉は互生し,羽状複葉で15~41枚の奇数個の小葉がある。小葉は長楕円形で,長さ2~4cm,幅7~15mm,両面に短い茶褐色の毛がある。6~7月に多数の蝶形花が茎の先に穂状につく。花は淡黄色で,長さ15~18mm,下半分は萼筒におおわれる。おしべは10本で,離生。豆果は長さ7~8cm,中に4~5個の種子を入れ,種子と種子の間で少しくびれてやや念珠状となる。本州,四国,九州,朝鮮,中国,シベリアに分布する。根を乾燥して苦参(くじん)と呼び,健胃薬とする。それをかむと目がくらむほど苦いため,眩草(くららぐさ)と呼ばれ,和名はそれに由来する。別名をクサエンジュともいい,エンジュに近縁な草本であることを表している。
執筆者:大橋 広好
イタリアの聖女。イタリア語名キアラChiara。アッシジの貴族の娘に生まれ,1212年ポルツィウンコラでフランチェスコによって彼の修道会に受け入れられ,後にクララ女子修道会(クララ童貞会,フランシスコ第二会)を創立,修道院長となる。41年サン・ダミアーノ修道院をイスラム勢力が襲った際,聖体顕示台を掲げて撃退したという。美術では,クララ会の修道服と三つの結び目のある紐帯をしめた,うら若いまたは老年の修道女として表される。持物は聖体顕示台,ユリ,十字架など。生涯の場面は〈フランチェスコの遺骸に別れを告げるクララ〉など,しばしば前者の伝記と関連して表現される。名前に〈明るい〉という意味があることから,盲人,眼病に悩む人の守護聖人。祝日は8月11日。
執筆者:荒木 成子
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…これら13世紀末から14世紀の巨匠たちの壁画は,近世絵画発展の端緒となった重要な作品である。ほかに,この町で生まれ,1215年クララ女子修道会を興した聖女クララが埋葬されるサンタ・キアラ教会(1257),アッシジの最初の司教,聖ルフィヌスに捧げられたサン・ルフィーノ大聖堂(ウンブリアのロマネスク様式の代表作)がある。南郊に,フランチェスコが修復したサン・ダミアーノ修道院教会があり,クララはここで生涯を終えた。…
…托鉢しながら人々に罪の悔改めを説き,荒廃した教会を修復するフランチェスコの周囲には,やがて彼にならい,福音書の理想に従って生きようとする弟子たちの集団が形成され,1209年には〈小さき兄弟たちの修道会Ordo Fratrum Minorum〉(フランシスコ会の正式名称)の最初の会則が制定される。12年には,彼の影響によって回心したアッシジのクララに修道服を授け,ここにフランシスコ会第二会(女子修道会)が成立した。 フランチェスコの宣教活動はイタリア内部にとどまらず,シリア,モロッコ,および中近東に向けて旅立ったが,いずれも事故や病気のため成功するにはいたらなかった。…
※「クララ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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