バリオス(読み)ばりおす(英語表記)Justo Rufino Barrios

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリオス」の意味・わかりやすい解説

バリオス(Eduardo Barrios)
ばりおす
Eduardo Barrios
(1884―1963)

チリ小説家軍人になるのを断念して、商人山師、簿記係など職を転々とするが、晩年には文部大臣も務めた。異常心理に強い関心を示した自然主義作家で、心理の動きを克明に追求する作品が多い。母親の若い友人を恋するがその女性に愛人がいることを知って精神異常となる『恋に狂った少年』(1915)、厳格な軍人である父親の期待にそえず社会にも適応できず酒浸りになる青年を描く『落後者』(1917)、聖人の評判を得たものの肉欲との板挟みに悩む『愚かな修道士』(1922)、人間の心のうちに潜むさまざまな人格の闘いを描いた『1人の中の何人もの人間』(1950)などがある。

[安藤哲行]


バリオス(Justo Rufino Barrios)
ばりおす
Justo Rufino Barrios
(1835―1885)

グアテマラ政治家、将軍サン・ロレンソに生まれ、1871年の自由主義革命後に第17代グアテマラ共和国大統領在任1873~85)に就任した。1823年から39年まで成立した中央アメリカ連邦共和国の再建を目ざして、85年中央アメリカ連合la Unión de Centroamérica結成を宣言し、武力による再統合に着手したが果たしえず、エルサルバドルへ侵入する途上、チャルチュアパにて戦死した。国内政策の面においては、経済的・文化的改革の推進、信仰の自由の宣言、教会財産の解放など、さまざまな自由主義的改革を実施し、グアテマラの近代化に貢献した。

[原田金一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バリオス」の意味・わかりやすい解説

バリオス
Barrios, Justo Rufino

[生]1835. サンロレンソ
[没]1885.4.2. チャルチュアパ
グアテマラの政治家。大統領 (在任 1873~85) 。 1871~73年軍参謀。 73年大統領となり自由主義的改革を断行。地方の上流特権階級を服従させ,カトリック教会を弾圧して教会や司祭の政治,経済への干渉を排除し,報道,通信,交通,教育の進展をはかった。対外的には中央アメリカ連邦の再興に力を注ぎ,隣国エルサルバドルに侵攻中チャルチュアパの戦いで死亡。

バリオス
Barrios, Eduardo

[生]1884.10.25. バルパライソ
[没]1963?
チリの小説家。ペルーのリマで教育を受けたが,家出してチリ北部を放浪したのち小説家となった。代表的な作品は自然主義の流れをくむ『恋に狂った少年』 El niño que enloqueció de amor (1915) ,『だめな男』 Un perdido (18) ,『愚かな修道士』 El hermano asno (22) 。

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