バーバー・ターヒル(その他表記)Bābā Ṭāhir `Uryān

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーバー・ターヒル」の意味・わかりやすい解説

バーバー・ターヒル
Bābā Ṭāhir `Uryān

[生]1000頃. ハマダーン
[没]1055以後. ハマダーン
ペルシア神秘主義者詩人神秘主義思想を素朴で熱情に満ちた四行詩で作詩し,ペルシア文学史上に四行詩詩人としての位置を占める。彼の詩は,ルリスターン方言を取入れ,民謡の韻律を用いたことに特色があり,托鉢遊行僧としての作者の赤裸々な感情表現されている。19世紀以降ヨーロッパの学界でも高く評価され,研究書や訳書が出版された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーバー・ターヒル」の意味・わかりやすい解説

バーバー・ターヒル
ばーばーたーひる
Bābā āhir
(1000ころ―55ころ)

ペルシアの神秘主義詩人。ハマダンに生まれ、放浪の托鉢(たくはつ)僧として知られるが、生涯は不明。四行詩人として知られ、ルリスタン方言を取り入れた素朴な表現が特色。神秘主義の熱情にあふれた『バーバー・ターヒル四行詩集』は約350の作品を収める。19世紀末以来、西欧の東洋学者に注目され、英語フランス語などによる研究書、翻訳書が相次いでいる。

[黒柳恒男]

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世界大百科事典(旧版)内のバーバー・ターヒルの言及

【ルバーイヤート】より

…韻律は長音と短音を組み合わせたハザジ・ムサッマムの変形が主として用いられた。 ルバーイーはペルシアのほとんどすべての詩人に用いられた詩形で,10世紀以降のペルシア文学に多く現れるが,ルバーイヤート詩人として名高いのは,アブー・サイード・ブン・アビー・アルハイルAbū Sa‘īd b.Abī al‐Khayr(967‐1049),バーバー・ターヒルBābā Ṭāhir(生没年不詳,11世紀の人),アンサーリーal‐Anṣārī(1005‐89)とウマル・ハイヤームである。前3詩人は神秘主義者で神秘主義思想の表現にこの詩形を用いたが,ウマル・ハイヤームはこの詩形で運命,酒,美女などをよんだ。…

※「バーバー・ターヒル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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