化学辞典 第2版 「パストゥール効果」の解説
パストゥール効果
パストゥールコウカ
Pasteur effect
L. Pasteur(パストゥール)によって発見された現象で,酸素の存在によって組織細胞の解糖が弱められることをいう.たとえば酵母は酸素の有無によって代謝系を変化させる.酵母は酸素が少ない条件下では,発酵を行ってエネルギーを得るが,通気を行うと発酵は停止し(エタノールの生成がやみ),酸素を電子受容体とする呼吸が行われ,多量の糖を分解して多量のエネルギーを得るようになり,それに伴って菌体数が急速に増加する.乳酸菌はシトクロム系呼吸酵素やトリカルボン酸サイクルをもたないので,この効果はみられない.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報