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乳酸 にゅうさんlactic acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

乳酸
にゅうさん
lactic acid

α-ヒドロキシプロピオン酸ともいう。化学式 CH3CH(OH)COOH 。不斉炭素原子を1個有し,L- ,D- ,DL- の3種の光学異性体がある。牛乳の酸敗のときにできる乳酸は融点 53℃,普通の発酵でできるものは融点 17℃である。解糖作用の最終生成物として,筋肉中に生成する。筋肉から分離されたものは右旋性である。カルシウム塩,亜鉛塩は医薬品,チタン塩は製革,その他染色,食品,特に乳酸飲料に使われる。

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デジタル大辞泉の解説

にゅう‐さん【乳酸】

有機酸の一。無色の柱状結晶。水・エタノールに溶ける。動物体内に存在し、解糖の最終生成物で、筋肉中に蓄積されると疲労の原因となる。また乳酸菌による発酵で生じ、薄い水溶液はさわやかな酸味をもち、清涼飲料の酸味剤に利用。化学式CH3CH(OH)COOH

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百科事典マイペディアの解説

乳酸【にゅうさん】

広義にはα‐ヒドロキシプロピオン酸CH3CH(OH)COOHとβ‐ヒドロキシプロピオン酸HOCH2CH2COOHの2種をいうが,普通前者を単に乳酸という。
→関連項目乳製品

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栄養・生化学辞典の解説

乳酸

 C3H6O3 (mw90.08).

 図のL-乳酸はピルビン酸が還元されて生成する.筋肉の運動によっても生じ,その大半は肝臓に運ばれてグルコースへと再変換される.乳酸菌の生産する乳酸は乳酸飲料として利用される.ヒト血液の正常値は0.6〜1.8mEq/l

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世界大百科事典 第2版の解説

にゅうさん【乳酸 lactic acid】

化学式CH3CH(OH)COOH。α‐ヒドロキシプロピオン酸,エチリデン乳酸ともいう。不斉炭素原子をもつ代表的な物質で,右旋性(+),左旋性(-)およびラセミ体(±)の3種が存在する。(+)‐乳酸はL(またはS)配置,(-)‐乳酸はD(またはR)配置をもつ。このうち,(+)‐乳酸は高等動物体内で嫌気性の組織や筋肉中に存在し,肉乳酸sarolactic acidとも呼ばれる。解糖系代謝の最終産物であるピルビン酸の還元によって生ずる。

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大辞林 第三版の解説

にゅうさん【乳酸】

乳酸菌による糖などの発酵で生ずる α -ヒドロキシ酸。化学式 C3H6O3 酸味のある無色の粘性液体で、染色工業で還元剤、食品工業で酸味剤などに用いる。また、筋肉中でのグリコーゲンの解糖によっても生じ、筋肉内に乳酸が蓄積すると疲労の原因となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

乳酸
にゅうさん
lactic acid

α(アルファ)-オキシ酸の一つで、オキシプロピオン酸ともいう。分子量90.08。1780年スウェーデンの化学者シェーレによって酸敗した牛乳から発見されたので、この名がつけられた。不斉炭素原子をもち、光学異性体があるもののうち、もっとも簡単な化合物の一つで、動植物界に広く存在する。
 L-乳酸は解糖の最終産物としてピルビン酸の還元によって生ずるが、乳酸デヒドロゲナーゼがこの反応を触媒する。柱状晶。融点53℃。比旋光度(+)2.6度で、吸湿性。休息時にも血液中に正常成分として少量存在するが、運動時には筋肉中のグリコーゲンから大量に生じ、血液中の濃度が増加する。D-乳酸は厚い板状晶。融点は52.8℃で、比旋光度(-)2.6度である。DL-乳酸(ラセミ体で、D-乳酸とL-乳酸の混合物)は融点16.8℃で、旋光性は示さない。
 製法には発酵法と合成法とがある。発酵法では、糖質を原料として乳酸菌による乳酸発酵により生成され、これは発酵乳酸とよばれる。乳酸菌の種類によってD-またはL-乳酸、あるいはラセミ体が生成される。合成法では、アルデヒドとシアン酸より乳酸ニトリル、乳酸メチルエステルを経て得られる。用途としては、食品添加物に指定されており、合成酒の配合剤、清涼飲料水、ドロップ、ゼリー、アイスクリームなどの酸味剤、清酒醸造用として発酵初期に雑菌の生育防止などに用いられる。乳酸飲料には広く用いられ、食品にもっとも古くから広く使用されている。このほか、医薬品などにも用いられる。[飯島道子]

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世界大百科事典内の乳酸の言及

【筋肉痛】より

…疲労により筋肉の血液の循環が障害されると,酸素やエネルギー源の供給は思うようにいかなくなり,嫌気性解糖がさかんになる。その結果産生された乳酸などの疲労物質が蓄積されて,筋肉のタンパク質が膠質(こうしつ)化学的変化を起こすと,筋肉の硬度が増加して〈こり〉の状態になる。また精神的緊張や内臓に疼痛の原因になるような疾患がある場合の筋肉の反射性緊張も筋肉の〈こり〉の原因になる。…

※「乳酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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