日本大百科全書(ニッポニカ) 「パチョリ」の意味・わかりやすい解説
パチョリ
ぱちょり
patchouli
[学] Pogostemon cablin Benth.
Pogostemon patchouli Pell.
シソ科(APG分類:シソ科)の多年草。草丈は1メートルほどで、低木状になる。葉は対生し、卵形で縁(へり)にぎざぎざがあり、長さ約10センチメートル、細毛が密生する。フィリピン原産で、葉から精油をとり、古くから香水原料として珍重され、フィリピン、スマトラ、マダガスカル、ブラジルなど熱帯各地で広く栽培されている。一般の栽培条件では花がつかないので、繁殖はもっぱら挿木による。苗を畑に植え付け、半年ほどしたら茎葉を収穫する。1年に2、3回刈り取り、3~4年間続けて収穫できる。株が古くなると、葉の精油含量が減るので植え直す。収穫した葉はいったん日に干してから蒸留して香油patchouli oilをとる。主成分は竜脳(りゅうのう)に似たパチョリアルコールpatchouli alcoholやカジネンcadineneなどである。香油は香水やヘアトニック、せっけん、たばこなどの香りづけに用いられる。衣服や枕(まくら)、ショール、カーペットなどの香りづけにも使われるが、これはイガ(衣蛾)の駆除にもなる。また、薬用にも使われる。
[星川清親 2021年9月17日]