パルミラ遺跡(読み)パルミラいせき(英語表記)Palmyra

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パルミラ遺跡」の意味・わかりやすい解説

パルミラ遺跡
パルミラいせき
Palmyra

シリア南部,ダマスカスから北東約 210kmのシリア砂漠にあるローマ時代の都市遺跡。前1世紀頃からユーフラテス川地中海を結ぶ貿易路の中間に位置するオアシス都市タドモルとして繁栄した。3世紀には小アジアからエジプトにまたがる隊商帝国を形成した女王ゼノビアがローマからの独立を宣言したが,ローマのアウレリアヌス帝によって滅ぼされた。残存する遺構コリント式オーダーのバール神殿(ベル神殿)をはじめ,バール・シャミン神殿,列柱通路,四面門,アゴラ,墓地などで,ヘレニズムの建築様式(→ヘレニズム文化)を示している。この時代の墳墓は塔状の住居型墓と地下式墓がある。墓には死者の胸像神像などを高浮彫(→浮彫)で表現したものが多く,東西両文明の影響を物語っている。1980年世界遺産の文化遺産に登録。観光地として人気を集めていたが,2011年に勃発したシリア内戦の激化をうけ,2013年危機遺産に登録された。2015年,過激派組織「イスラム国」によってバール神殿,バール・シャミン神殿,列柱通路の凱旋門などが爆破された。(→パルミラ

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