ヒツジバエ(読み)ひつじばえ(英語表記)warble fly

翻訳|warble fly

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒツジバエ」の意味・わかりやすい解説

ヒツジバエ
ひつじばえ / 羊蠅
warble fly

昆虫綱双翅(そうし)目環縫(かんぽう)亜目ヒツジバエ科の総称、およびそのなかの1種。体長10~12ミリメートル。体は白色の微毛に覆われ、一見ミツバチを思わせる。触角は小さくて黄色を帯び、第3節は黒色。口器は退化している。胸背は褐色で点刻が散在する。腹部は黒色または黒褐色を呈し、白色の不規則紋をもつ。脚(あし)は黄色で黒色毛を生ずる。成虫はヒツジの鼻孔付近に1齢幼虫を産み付け、幼虫は鼻孔から鼻道や上顎洞(じょうがくどう)に移動し、粘膜に鉤着(こうちゃく)し寄生する。幼虫期間は8~10か月、成熟幼虫はくしゃみの際に鼻孔から落ち、土中で蛹化(ようか)する。蛹(さなぎ)は3~9週間で羽化する。

 日本にはヒツジとともに移入されたヒツジバエOestrus ovisだけが北海道に定着している。世界には4亜科33種がおもに大陸に分布し、いずれも哺乳(ほにゅう)類の皮膚、粘膜に外部寄生する。多産地ではしばしば間違ってヒトの目に産み付けられ、結膜炎などを引き起こして問題となる。一般には寄主が家畜である場合、畜産害虫として嫌われている。

倉橋 弘]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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