日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒョウホンムシ」の意味・わかりやすい解説
ヒョウホンムシ
ひょうほんむし / 標本虫
spider beetles
昆虫綱甲虫目ヒョウホンムシ科Ptinidaeに属する昆虫の総称。世界各地に分布して約700種が知られており、日本では7種の記録がある。体長2~5ミリぐらいの小甲虫。普通、黄褐色ないし黒褐色で体表は毛に覆われ、ナガヒョウホンムシのように前胸背部に縦の黄色い毛塊をもつものや、上ばねの前後に白い鱗毛(りんもう)の斑紋(はんもん)をもつものもある。頭は下向きで前胸は後体部より幅が狭く、脚(あし)が長くてクモに似た外見をもつ。触角は糸状が普通で、脚(あし)の跗節(ふせつ)は五節である。乾燥した動植物質を食べ、貯蔵穀類の害虫としてあげられるものもあり、名のように各種の標本を害するとされる種もあるが、実際の例はむしろ少ない。海外ではタバコの乾燥葉にみいだされる種もある。日本では背部が強く膨れて光沢のある褐色種セマルヒョウホンムシ、ひょうたん形のカバイロヒョウホンムシ、細形のナガヒョウホンムシなどがよく知られ、最後の種の仲間は雄の上ばねが両側平行であるのに雌では丸みをもつ。
[中根猛彦]