ビブリオ(読み)びぶりお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビブリオ」の意味・わかりやすい解説

ビブリオ
びぶりお
[学] Vibrio

通性(条件的)嫌気性グラム陰性桿菌(かんきん)群の細菌。腸内細菌に類似する。細胞は多くの場合、湾曲するが、しばしば桿状となる。0.5~0.8×1.4~26マイクロメートル(1マイクロメートルは100万分の1メートル)。また、多くの種は培養状態によって多形態性を示す。細胞の一端に1本または2本以上の鞭毛(べんもう)(極毛という)をもち、運動性がある。この場合も、培養状態によって周毛となる場合もあれば、鞭毛を形成しないこともある。グラム陰性で、通性嫌気性、一般に糖を分解して酸を生産する。しかし、炭酸ガス(二酸化炭素)の生産はない。基準種はコレラ菌V. choleraeである(V. comma学名を使用したこともある)。また、海水産の細菌である腸炎ビブリオV. parahaemolyticusは、日本で頻度の一番高い食中毒(腸炎ビブリオ症)をおこす。このほか、この属には抗塩性ビブリオとよばれる数種も含まれる。

[曽根田正己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビブリオ」の意味・わかりやすい解説

ビブリオ
Vibrio

ビブリオ科の1属。グラム陰性桿菌。細胞はあまり長くはないが,バナナ状に曲っていて,単立するか,数個が連結して螺旋状になっている。菌体の一端の短い1本,または束生する数本の鞭毛で遊泳する。土壌中,淡水中,海水中に広く分布する。病原性を示すビブリオとしてはコレラ菌と,日本での食中毒原因の大部分を占める腸炎ビブリオがある。

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