改訂新版 世界大百科事典 「ピエトロダコルトナ」の意味・わかりやすい解説
ピエトロ・ダ・コルトナ
Pietro da Cortona
生没年:1596-1669
イタリア,盛期バロックを代表する画家,建築家。本名ベレッティーニPietro Berrettini。コルトナ生れ。フィレンツェで建築家コンモーディA.Commodiのもとに学び,彼とともに1612年ごろローマに行く。ローマでラファエロを学び,トリノ出身の貴族カッシアーノ・ダル・ポッツォの保護を得て盛期バロックの大装飾様式を完成した。代表作パラッツォ・バルベリーニの大広間の《神意の勝利》(1633-39)は,ベルニーニ,ボロミーニとの共同制作で,イリュージョニスティックなバロック天井画の範例となった。天性の装飾的才能をもつ一方,彼は博学な寓意図像作者であり,スペクタクルを作り出す空間の演出家でもあった。その画業はラファエロとティツィアーノ,ルーベンスとプッサンの中間にあり,建築ではブラマンテとパラディオの半ばにあるといわれる。1656-58年のサンタ・マリア・デラ・パーチェ教会(ファサード,前庭,内装)は演劇的空間のみごとな作例である。
執筆者:若桑 みどり
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報