ファミリーコンピュータ(読み)ふぁみりーこんぴゅーた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファミリーコンピュータ」の意味・わかりやすい解説

ファミリーコンピュータ
ふぁみりーこんぴゅーた

テレビゲームのブームをもたらした家庭用テレビゲーム機の商品名。ファミコンと略す。1983年(昭和58)任天堂から発売された。これまでの家庭用ゲーム機の単純なゲームと違い、手ごろな価格でゲームセンターにあるようなゲームができるというコンセプトで開発され、画期的な商品として迎えられた。ハードウェアとしては8ビットCPU(中央処理装置)をもち、ソフトの供給媒体には半導体チップを組み込んだカートリッジが使用された。

 1985年に自社ソフトの「スーパーマリオブラザーズ」が爆発的に売れ(全世界で4000万本)、普及は急速に進む。その後も「ドンキーコング」や、「ドラゴンクエスト」シリーズなどのミリオンセラーのソフトを得て、ゲーム業界はファミコン主導のテレビゲーム時代が続くことになった。1990年(平成2)上位機種の「スーパーファミコンスーファミ)」にその座を譲るが、国内累計生産出荷台数は1935万台に達し(全世界では6291万台)、ファミコン世代とよばれるゲーマー層を生み出した。

 1990年に発売されたスーパーファミコンは16ビットのCPUをもち、ソフトの供給媒体は半導体カートリッジであった。ソフトもファミコン時代からのヒットシリーズが多数あり、家庭用ゲーム機市場で圧倒的なシェアを保ち続けた。1994年にセガの「セガサターン」、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション」の32ビット機が発売されると、ゲーム機市場は混戦となり、1996年後継機種の「NINTENDO64」の発売で役割を終えた。スーパーファミコンの国内累計生産出荷台数は1717万台、世界累計生産出荷台数は4910万台。ファミコンとともにテレビゲーム業界に一時代を画した機種であった。

[鈴木銀一郎]

『東京都歴史文化財団東京都写真美術館企画・監修『ファミリーコンピュータ1983―1994』(2003・太田出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファミリーコンピュータ」の意味・わかりやすい解説

ファミリーコンピュータ

任天堂が 1983年発売した家庭用コンピュータ・ゲーム機の商品名。ゲームソフトの入ったロム ROMを本体に差し込み,テレビに接続してゲーム画面を表示,キーパッドで操作する。当時家庭用ゲーム機では汎用品主流だったマイクロプロセッサに専用のものを使い,高速で鮮やかな画面を実現,またゲームソフト制作会社とライセンス契約を結んで良質なソフトをそろえたことが奏功し,世界の玩具市場を席捲した。日本では商品名の略称「ファミコン」が,欧米では社名の「ニンテンドー」が家庭用ゲーム機の代名詞となった。ゲームの解説書・雑誌も売れ,出版の一分野を築いた。また電話回線に接続して通信端末とするファミコン通信は,証券会社のホームトレード・サービスに利用されるなど,単なる玩具にとどまらない発展をみせた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android