大学事典 「フェニックス大学」の解説
フェニックス大学[アメリカ]
フェニックスだいがく
1976年に実業家のジョン・スパーリング,J.G.(John Glen Sperling,1921-2014)が創設した全米で最大規模の営利大学。本部はアリゾナ州フェニックスにあり,経営母体はナスダックに上場しているアポロ・グループである。フェニックス大学成長の要因は,大きく2点に集約される。第1は伝統的な大学とは異なり,社会人学生にターゲットを定めている点である。社会人学生に対応するため,社会で雇用ニーズが高い分野を中心にコースを設置したり,修学の利便性を考慮し100以上のブランチ・キャンパスやオンライン教育を提供したりしている。第2は徹底した効率経営を追求している点である。9割以上の教員をパートタイムの実務家教員によって構成し,キャンパス内に学生寮やグラウンド,図書館といった施設を持たないなどにより大幅なコスト削減を実現している。しかし21世紀に入ってからは教育の質と卒業率の低さ,さらには教育ローンによる負債者の増加等への批判や訴訟が頻発するようになった。その結果,2016年度の学生数は2000年のピーク時の60万から14万余と4分の1に激減し,それに伴いキャンパスの閉鎖やスタッフの解雇が進行し,一転して後退局面を迎えている。
著者: 古賀暁彦
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報