改訂新版 世界大百科事典 「フェネックギツネ」の意味・わかりやすい解説
フェネックギツネ
fennec fox
Fennecus zerda
食肉目イヌ科の哺乳類。砂漠にすみ,長さ11~15cmもある大きな耳をもち,体の大きさに対する比率では哺乳類中もっとも大きい。体長36~41cm,尾長18~31cm,体重1~1.5kg。イヌ科中もっとも小型である(家畜イヌを除く)。長く柔らかな毛が密生する。体色はイヌ科中もっとも淡色で,赤みを帯びたクリーム色,あるいは明るい茶色,なかには白色に近い個体もある。足の裏にはえる毛が滑り止めの役割をし,砂の上を容易に走ることができる。モロッコ南部からエジプト,スーダン,アラビアの乾燥した荒地と砂漠に分布する。夜行性で,おもにネズミ,トカゲ,小鳥などを獲物とし,優れた聴覚を使って見つけだし,捕食する。最高で10頭になる家族群で生活し,雄は尿を使ってなわばりを標識する。出産は年1回。1産2~5子。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報