日本大百科全書(ニッポニカ) 「フタオガ」の意味・わかりやすい解説
フタオガ
ふたおが / 双尾蛾
昆虫綱鱗翅(りんし)目フタオガ科Epiplemidaeの総称。この科は、開張15~30ミリの小形種を含む小さな科で、日本には16種を産する。後翅外縁には2本の小突起をもつ種が多いことからフタオガという名がつけられた。すべて夜行性で、よく灯火に飛来するが、昼間花を訪れる種もある。多くの種は、静止するとき、後翅を畳んで腹部に密着させるが、種によっては前翅も線状に畳むことがある。熱帯に栄えているこの科の幼生期や生態については、まだよく研究されていないが、日本では害虫として注目される種は発見されていない。幼虫の食樹としては、クロフタオEpiplema styxがナナカマド、ハシドイ、クロホシフタオE. mozaがガマズミなどスイカズラ科、カバイロフタオE. simplexがヒメユズリハに寄生することがわかっている。
[井上 寛]