ナツツバキ(読み)なつつばき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナツツバキ」の意味・わかりやすい解説

ナツツバキ
なつつばき / 夏椿
[学] Stewartia pseudocamellia Maxim.

ツバキ科(APG分類:ツバキ科)の落葉高木。シャラノキ(沙羅樹)ともいうが、サラソウジュ(沙羅双樹)の名で利用されることがあり、真正のサラソウジュ(フタバガキ科)と混同されることが多い。樹皮は赤褐色で滑らかである。葉は互生して枝先につき、楕円(だえん)形で長さ約10センチメートル。夏、新枝の葉腋(ようえき)に径約5センチメートルでツバキに似た白色花を1個ずつ開く。萼片(がくへん)、花弁ともに5枚。雄しべは多数あり、花糸の基部は花弁に合着する。雌しべは1本で、花柱は5裂する。子房は上位で、白毛を密生する。蒴果(さくか)は宿存萼に包まれ、10月ころ茶褐色に熟すと、5片に裂開する。種子卵形で先はとがり、狭い翼がある。山中に生え、東北地方以西の本州から九州、および朝鮮半島に分布する。庭木として植えられ、材は床柱、器具、彫刻に用いる。

[杉山明子 2021年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナツツバキ」の意味・わかりやすい解説

ナツツバキ(夏椿)
ナツツバキ
Stewartia pseudo-camellia

ツバキ科の落葉高木。北海道を除く日本各地の山中に自生するが,夏に白いツバキに似た花が咲くので観賞用に庭園に栽植される。葉は互生し楕円形で長さ 10cm内外,厚く革質で,鋸歯がある。花は径 5cm内外で平開せず,開花後すぐ落ちる。花弁は5枚で皺がより,縁に細かい鋸歯がある。萼片,花弁とも背側に白い絹糸状の毛が目立つ。多数あるおしべは浅い円筒状に癒着して単体おしべをつくる。材は緻密でじょうぶなため,樹皮のついたまま床柱とし,また農・工具の柄,ろくろ細工,彫刻材,薪炭材などに用いる。

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