リョウブ(読み)りょうぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リョウブ」の意味・わかりやすい解説

リョウブ
りょうぶ / 令法
[学] Clethra barbinervis Sieb. et Zucc.

リョウブ科(APG分類:リョウブ科)の落葉高木。高さ7~10メートル。樹皮は滑らかで茶褐色、まだらにはげ、サルスベリに似る。葉は枝先に集まって互生し、長楕円(ちょうだえん)形で長さ8~13センチメートル、先は短くとがり、基部はくさび形で縁(へり)に鋸歯(きょし)があり、裏面の脈上に伏した毛がある。7~8月、枝先に長さ8~15センチメートルの総状花序を数個つくり、小さな白色花を多数開く。花弁は5枚、ばらばらに散る。果実扁球(へんきゅう)形の蒴果(さくか)で径約4ミリメートル、毛を密生し、果柄の先は曲がる。山野に生え、北海道の渡島(おしま)半島から九州、および韓国の済州(さいしゅう)島に分布する。若葉はゆでてあく出しして食用とし、令法飯(りょうぶめし)などにする。材は緻密(ちみつ)で堅く、床柱、器具、薪炭材とする。

 リョウブ科は合弁花類でリョウブ属のみからなり、アメリカ、アジア、カナリア諸島に約30種ある。

小林義雄 2021年4月16日]

 APG分類でもリョウブ科とされる。従前はリョウブ属のみで構成されていたが、分子系統解析の結果中央南アメリカに分布するPurdiaea属もリョウブ科であることがわかった。この分類によると、世界に2属約75種があり、日本にはリョウブが自生する。

[編集部 2021年4月16日]


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改訂新版 世界大百科事典 「リョウブ」の意味・わかりやすい解説

リョウブ (令法)
Clethera barbinervis Sieb.et Zucc.

日当りのよい山地に生えるリョウブ科の落葉小高木。樹皮ははげやすく,樹の膚は茶褐色で滑らかである。茎は下部から分枝して直立し,高さ3~7m。葉は枝先に集まってつき,広倒披針形でとがり,長さ8~13cm,幅3~9cm,縁にとがった鋸歯がある。7~8月,枝先に数本に分枝した総状花序に多数の白色でウメの花状の花をつける。花は径6~8mm,花弁は5枚,おしべは10本。めしべの子房は3室からなる。蒴果(さくか)は球形で径4~5mm,密に毛が生える。北海道~九州,朝鮮(済州島)に分布する。

 春に若芽を摘み,十分あく出しをして食用とする。材は堅く木目がつんでいるので,細工物に使われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リョウブ」の意味・わかりやすい解説

リョウブ(令法)
リョウブ
Clethra barbinervis

リョウブ科の落葉小高木。日本全土の日当りのよい山地に生える。高さは 6mぐらいで樹皮は茶褐色,紙のように薄くはげ,サルスベリの幹のようで目立つ。葉は長さ6~12cmの広卵状披針形で先はとがり,葉縁には鋸歯があって,手ざわりはあらく下面には毛が多い。葉の裏面は白色を帯び,10対前後の側脈が隆起していて目立つ。夏の初めに,白色5弁の小花を総状に多数つける。わずかな芳香を有し,ハチなども多く飛来する。幹は床柱材,また優良な木炭材となる。若葉はゆでたり,りょうぶ飯として食べられ,救荒植物となる。北アメリカにも同属近縁の種類がある。

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百科事典マイペディア 「リョウブ」の意味・わかりやすい解説

リョウブ

リョウブ科の落葉小高木。北海道南部〜九州,東アジアの山地にはえる。樹皮はなめらかで茶褐色を帯び,葉は広倒披針形で,枝先に集まってつく。7〜8月に枝先に長さ10cm内外の総状花序を出し,多数の白色の花を開く。花冠は深く5裂。果実は球形で小さい。若葉を食用とし,材を器具などとする。

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普及版 字通 「リョウブ」の読み・字形・画数・意味

侮】りようぶ

凌辱する。

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