ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フネス」の意味・わかりやすい解説
フネス
Funes, Mauricio
[没]2025.1.21. ニカラグア,マナグア
マウリシオ・フネス。エルサルバドルの政治家,テレビ局記者。大統領(在任 2009~14)。フルネーム Carlos Mauricio Funes Cartagena。
中央アメリカ・ホセ・シメオン・カーニャ大学 UCAでコミュニケーションを専攻。在学中,左派活動家で社会学教授のフランシス・ミゲル・(ハト・)ハスバンから大きな影響を受けた。1980年8月の学生デモで兄が警察に殺害されたのを機に大学を中退。1986年に国営教育テレビ局の記者となり,1987年には報道番組中心の民間放送局チャンネル12に転職。ファラブンド・マルティ民族解放戦線 FMLN(左翼ゲリラ。1992年に合法政党化)をはじめとする数々の左派政党指導者や,国外の左派指導者を取材した。1991年,恩師ハスバンに協力して UCA内に映像センターとラジオ局を設立。長年にわたり CNN特派員も務めた。調査報道で数々の賞を獲得したが,右派の民族主義共和同盟 ARENA政権を痛烈に批判したことから,当局の検閲や殺害の脅迫を受けるにいたり,2005年にチャンネル12を解雇された。
2007年9月,1980年代の内戦にゲリラ戦闘員として従軍していない,初の FMLN大統領候補となった。社会正義,経済改革,生活水準の向上,国民皆保険,教育・住宅・年金の普及と利便性の向上,犯罪抑制やギャング対策などを公約に掲げ,2009年3月に行なわれた大統領選挙で当選を果たした。2009年6月に任期 5年の大統領職に就任。就任後は 50年前から断絶していたキューバとの国交回復を宣言する文書に署名したほか,貧困層に向けた国家緊急支援計画に着手した。また 1980~92年のエルサルバドル内戦における国家による人権侵害や 1980年のオスカル・ロメロ大司教殺害事件,1981年北東部エルモソテで起こった軍による反乱鎮圧と一般市民虐殺事件について公式に謝罪した。一方,国内に蔓延する違法薬物取引,ギャングによる暴力や犯罪の対策に軍の力を利用したほか,ローマ・カトリック教会の協力を得て一定期間ギャング同士の抗争を抑えることに成功,犯罪率が大幅に低下した。しかし,2012年3月の議会選挙で与党 FMLNが第一党の座を失い,苦しい政権運営を強いられた。再選を禁ずる憲法の制約上,2014年に退任。2016年に不正蓄財の罪を問われ,ニカラグアに亡命。2017年に有罪判決がくだったが,いかなる不正行為も否定し続けた。
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