ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フルネロン」の意味・わかりやすい解説
フルネロン
Fourneyron, Benoît
[没]1867.7.31. パリ
水力タービン(→水車)を発明したフランスの発明家。数学者の息子として生まれ,1816年サンテティエンヌの工業学校を卒業。ルクルーゾーの製鉄所で働くかたわら,恩師のクロード・ブールダンが考案した新しい型の水車「タービン」について研究。科学アカデミーや産業振興協会はブールダンの論文を受け入れなかったが,フルネロンはその重要性を認めて実用化に取り組んだ。1827年,水車の中心部から外側に向かって水を流し,回転子に角度をつけて取り付けられた固定羽根(静翼)または回転羽根(動翼)にあてる仕組みを用いた 6馬力のタービンが完成した。1837年には毎分回転数 2300,効率 80%,60馬力のタービンを製作。羽根車の直径約 30cm,重さ約 18kgと小型なうえ,回転軸を垂直にして横置きに設置できるなど,従来の水車に比べていくつもの利点があり,またたく間に国際的な成功を収めた。フルネロンのタービンはヨーロッパやアメリカ合衆国,とりわけニューイングランド地方の繊維工業の発展に寄与し,1895年にはナイアガラ瀑布のアメリカ側の水力発電所にも採用された。フルネロンは蒸気タービンの可能性にも着目したが,材料と工作技術の不足により完成にはいたらなかった。
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