翻訳|flow chart
流れ図ともいう。作業の工程や処理の手順を図化したもの。コンピューターのプログラムや作業管理のための作業工程図operation process chart,流れ工程図flow process chart,流れ線図flow diagramなど種々のものを意味するが,ここではコンピューターのフローチャートについて解説する。コンピューターのプログラムはプログラム命令語の一連の集りで記述される。プログラム命令語は順次に実行されるのが原則であるが,プログラムの流れを制御する条件文,無条件飛び越し,副プログラムなどの場合には,プログラムの実行位置を追跡しにくくなる。
フローチャートはプログラムの流れを平面的広がりのある図にすることによって,プログラムの設計を容易にし,またプログラムの説明をわかりやすくする手段である。
フローチャートの記法はJISに定められており,図1にその一部を示した基本的ブロックをならべ,このブロック中にその操作の中身を書くことによってプログラムを表す。たとえば判断ブロックを用い,もし条件Aが成立すれば処理Bを実行し,成立しなければ処理Cを実行するときのフローチャートは図2のようになる。
フローチャートによるプログラムの設計では,まず全体の流れを示す概略フローチャートを作り,さらにその詳細をプログラム言語の1文に対応する細かさで表す詳細フローチャートが作られ,これからプログラムのコーディングが行われる。一般にフローチャートの記述力は高く,多様なプログラムを表現することができるから,逆にフローチャートを用いて作られたプログラムはプログラムそのものとしてはわかりにくくなりがちであることが指摘されている。このためフローチャートの書き方に制約を加え,フローチャートを規格化することによって,プログラムの形に規範を与えようとする考え方もある。またフローチャートを使わないでプログラムを書くこともプログラムそのものを読みやすくする手段として推奨されている。
執筆者:斉藤 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アルゴリズム(計算の手順、算法)を図で表したもの。流れ図ともいう。 のような記号を用い、計算の順序に従って線で結ぶ。アルゴリズムは、繰り返しがあったり、条件によって別々のことを行ったりするので、文章やプログラムだけで記録するには複雑すぎて理解しにくいことが多々ある。これをフロー・チャートで表しておけば、一目でその全貌(ぜんぼう)がわかる。FORTRAN(フォートラン)やアセンブリ言語でプログラムをつくるときは、まずフロー・チャートを書き、それに従ってプログラムを書き、プログラムとフロー・チャートの両方を見ながらデバッグ(誤りの修正)をするのがよい。
プログラム言語によっては、フロー・チャートが書きにくかったり(関数型のLISP(リスプ)や述語論理をベースとしたPROLOG(プロローグ)のプログラム)、フロー・チャート的な考えでプログラムをつくることを奨励しない言語(goto(ゴーツー)を使わないことを原則としている言語)もあるが、FORTRAN、COBOL(コボル)、BASIC(ベーシック)などの伝統的なプログラム言語でプログラムをつくるときは、フロー・チャートの助けを借りることが多い。
[中西正和]
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…プログラム中の分岐命令(goto文あるいはjump文)がスパゲッティ構造の原因であることが判明し,ダイクストラE.W.Dijkstraたちはgotoレスのプログラムを書くことを提唱した。特に,流れ図(フローチャート)を用いて設計したプログラムには分岐命令が増える傾向があることもわかった。そのことがきっかけで,プログラム構造を,連接(複数要素を順番に並べること),選択(複数要素の中から条件に応じてひとつの要素を選ぶこと),反復(ある条件を満たすまで繰り返すこと)の3種類の基本構造の組合せで構成していく手法が確立した。…
※「フローチャート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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