改訂新版 世界大百科事典 「ブリル」の意味・わかりやすい解説
ブリル
Paul Bril
生没年:1554-1626
フランドルの風景画家。Brillともつづる。アントウェルペン(アントワープ)に生まれ,1575年ごろローマに赴き,以後同地で活動。教皇庁で制作に携わっていた画家の兄マテイスMatthijs B.(1550-83)の没後,シクストゥス5世やクレメンス8世からバチカンの装飾,またサンタ・マリア・マッジョーレ教会やカジノ・ロスピリオージでの風景画(フレスコ)の依頼をうける。彼はアンニバレ・カラッチ風のイタリアの理想的・英雄的風景画に,ネーデルラントの詩情あふれた光の情趣を加え人気を博した。風景画は素描や版画を通じ,次代に少なからず影響を与え,弟子のタッシAgostino Tassi(1580-1644)は後にクロード・ロランの師となった。
執筆者:森 洋子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報